1. 株式会社Jocy 代表取締役 鈴木 みずほ 氏

東京都創業NETインタビュー

株式会社Jocy 代表取締役 鈴木 みずほ 氏インタビュー

株式会社Jocy 代表取締役 
鈴木 みずほ 氏
実家が代々不動産業を営んでおり、祖父や父が会社を経営する姿を見てきたため、物心がついた頃から、将来は自分も経営者になると漠然と思っていた。中学生の頃、会社が経営危機に陥り、生活が一変。会社を取り巻く人たちにも大きな影響を与えた。あがいている父親を見て、経営者の責任の重さを知り、経営という仕事に一層の魅力を感じたという。20代には起業すると決意し、大学卒業後、不動産ベンチャー、サイバーエージェントグループでの勤務を経て、2017年、28歳のときに起業。
株式会社Jocy Webサイト

新しいライフスタイルを提案し、人々の人生を彩る
ライフスタイルクリエイトカンパニーでありたい

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株式会社Jocyは、「MEZON」(https://mezon.jocy.jp/)というアプリ通じて美容室の定額サービスを提供している。会員は、提携美容室にいつでもどこでも定額で通える一方、美容室は集客が難しい平日の昼間でも稼働率を上げることができる。双方にとってメリットのある仕組み。カフェのように気軽に美容室に通うという新しいライフスタイルを創造することで、美容業界全体の活性化を図ることを目指している。
社名の由来は、女子(ジョシ)。女性たちが、固定概念や常識にとらわれず、自分の生き方を自分で作れるよう応援したいという気持ちを込めている。

目標は、3つの自由を手に入れ、20代で起業すること

20代で起業しよう、そのために3つの自由を手に入れようと18歳の頃には決めていました。3つの自由とは、やりたいことがやれる自由、それを実現するための資金を得る自由、私の夢についてきてくれる仲間を得る自由です。

自己資金で起業するつもりでしたから、学生のときからお金はしっかり貯めていました。
大学卒業後、不動産ベンチャーに就職。不動産物件のテナント営業を担当しました。しかし、1年ほどで退職。不動産営業は、物件が魅力的であれば自分の能力など関係なく簡単に成約が取れる。ここにいても学べることはないと思ったからです。

「やりたいことができる自由」を手に入れるために、実力をつけたい。20代で起業するには時間を無駄にしたくありませんでした。そこで、「もっと成長できる仕事に就きたい」と転職活動をし、サイバーエージェントグループに転職しました。

入社後まもなく、通信会社やデータ保有会社などと提携して新規事業を立上げるプロジェクトに参画しました。プロジェクトを成功させるためには、自社の利益だけでなく、提携企業、コンシューマーなど、関わる人すべての利益を考えなければなりません。「三方よし」の大切さを身をもって学びました。この経験は、後に起業したときに大変役立ちましたね。

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退路を断って起業に踏み切る

サイバーエージェントグループで働いた5年間で、多くを学びましたが、最も大きかったのは3つ目の自由である「仲間」を得たことです。現在の共同経営者である石黒武士は、前職の上司でした。彼もいつか起業したいと思っていて、いつも夢を語り合っていました。そのうち、じゃあ二人で起業しようということになったのです。互いの得意不得意を補い合える点でも最適のパートナーでした。

しかし、3つの自由を手にしたものの、起業に踏み切ることを躊躇する自分がいました。前職での仕事はやりがいがありましたし、同世代と比べると比較的高い給与をいただいていたので、これを捨てるのが怖くなったのです。でも、それでは20代で起業するという夢は叶えられなくなる。ぬるま湯につかったままの人生は嫌だと思い、退路を断つために2017年の8月に退職。10月には起業していました。

自分の体験から、美容室の定額サービスを発案

美容室の定額サービスを始めたのは、以前から、そんなサービスがあればいいなと思っていたからです。

私はもともと、プレゼンがとても下手でした。重要なプレゼンを控えていたある時、美容室に行ってヘアスタイルを整えてからプレゼンに臨みました。すると、自分でも驚くくらい自信を持ってプレゼンができ、高評価を得ることができました。「髪が決まるとこんなにも自分に自信が持てるんだ」と、その時の経験が強く印象に残っていました。当時は、渋谷の会社から表参道の美容室に月に4~5回通っていましたが、わざわざ通うのが面倒で、仕事の合間に気軽に通える美容室があちこちにあればと思っていたのです。

当社が提供するサービス「MEZON」は、まず美容室に登録してもらい、ユーザーは、提携美容室の中から自分の都合に合わせて好きなサロンを選んで通うことができる仕組みです。プランは、定額チケットプラン、平日のシャンプー・スタイリング通い放題、全日のシャンプー・スタイリング通い放題、平日のシャンプー・スタイリング通い放題プラス月2回ケア、平日のシャンプー・スタイリング通い放題プラス月4回ケアの5コース。

起業して真っ先に取り組んだのは、アプリの開発です。コツコツ貯めた自己資金はすぐに使い果たし、日本政策金融公庫の融資を受けました。
美容室あってのサービスですから、開発にあたっては美容室にヒアリングし、意見を取り入れながらサービス内容や価格を決めていきました。一方で、サービス開始前からHPを立ち上げ、会員登録を募りました。2018年の3月にリリースしたときには1000人以上の会員を得て、まずまずのスタート。現在は、600軒超の美容室が登録、ユーザー数は3万人を超えました。しかし、まだまだ投資フェーズ。今後もサービスをブラッシュアップしていきたいですね。

ゼロから価値を作り出し、人に喜ばれることが経営者の醍醐味

まったくゼロから自分のアイデアを形にして、私たちの提供サービスを体感した人から、喜びの声を頂けることが一番嬉しいことです。ユーザーの感想も美容室側の感想も、LINEで受け取れるようにしているので、ダイレクトに反響がわかります。「髪をきれいにしたら気持ちが上がって仕事がうまくいった!」「お店の空き枠が有効活用できてよかった」などのコメントを頂けると本当にうれしいです。これが経営者の醍醐味ですね。

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落ち込んだ時、ショートヘアに。すると自信がみなぎってきた

あまりストレスを感じないほうですが、昨年末に一時期落ち込んだことがあります。色んな方々にアドバイスを求めて面談を重ねてきましたが、ネガティブな意見を言われることが続き、すっかり自信を失ってしまったのです。「ヘアスタイルから女性に自信を提供したい」などと言ってもなかなか理解してもらえない。自分でも自信を持って説得できない。そんな自分が嫌いになってしまいました。

そこで、思い切って髪の毛をショートにし、自分はなぜ会社を辞めたのか、何をしたかったのか、原点を振り返ってみたんです。すると、どこからか自信が沸き上がってきて、「信念を貫こう」とまで思えるように。髪の毛って、やっぱり人を元気にできるし、人生をも変えるんだと実感しましたし、そこからは、もう迷うことはありません。

カフェに立ち寄る感覚で美容室へ、新しいライフスタイルの創造

私たちのビジネスは、美容系のサブスクリプションビジネスと思われているかもしれませんが、目指しているのはそこではありません。
新しいライフスタイルを作ることで、人々の人生を彩りたい。そして、その結果、産業を変えることにもつなげたい。

現在、美容室は全国に25万件、コンビニの5倍もあるんです。それに対し、人口減少によって美容室を利用する人は減っている。しかもある調査によると、一人平均1年に4回くらいしか美容室に行っていない。美容室はわずかなパイを奪い合っている状態です。

「MEZON」は、カフェに立ち寄る感覚で気軽に美容室を利用するという新しいライフスタイルを創り出すことで、そんな現状を変えていきたい。

ユーザーは、料金を気にせず何度でも美容室に行ける。美容室側も、稼働率を上げることができる。結果的には美容室の業界自体が活性化していく。

現在は渋谷や銀座など都心の美容室を対象にしてきましたが、現在はコロナの影響でリモートワークをする人が増えているので、地方都市にも広げていこうと考えています。

「これがやりたい!」という強い熱量を持つこと、人に何を言われてもあきらめないこと

「起業したいが、会社を辞めようか迷っている」と、よく相談を受けるんです。私は「迷うのなら会社に残ったほうがいいよ」と言っています。なぜなら、「やりたい」という気持ちが本当に強ければ、迷う前にもう行動を起こしていると思うんです。迷うのは、そこまでの熱量がないということ。それなら起業などしないほうがいい。起業するよりも起業してからのほうがずっと大変です。熱量がなければ続けられないのです。逆に、考えるより先に行動してしまうほどの熱量があるなら起業すればいい。

もう一つ言いたいことは、これをやりたいと思ったら、誰が何と言おうと自信を持って、ということ。色んな方々から「儲かるのか」「ビジネススケールが小さい」など、ネガティブなことを言われることは少なくありません。でも、そこで諦めてしまったらもったいない。
「なんだかよくわからないけど、あなたがそこまで自信を持っているなら応援する」と言ってくれる人は、必ずいます。自分を信じて突き進んで欲しいと思います。

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