1. 路地裏寺子屋 rojicoya/ろじこや 代表 米本 芳佳 氏

東京都創業NETインタビュー

路地裏寺子屋 rojicoya/ろじこや 米本 芳佳 氏

路地裏寺子屋 rojicoya/ろじこや
米本 芳佳 氏
看護師のキャリアをもち、書道の師範として活動する傍ら、コロナ禍かつ第三子を妊娠中だった2019年に、路地裏寺子屋 rojicoya/ろじこやを開業。7回の引越しを経験し、居心地の良さを感じた北千住で、古民家を拠点に和文化をトータルプロデュースしている。
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北千住の商店街で起業し、日本文化に触れられる機会をプロデュースしていく

北千住の古民家を拠点に、気軽に和文化に触れられる機会をプロデュース

現在行っているのは、和文化のトータルプロデュースです。「この古民家を借りてみませんか」とお話をいただいたのが旗揚げのきっかけでした。幅広い方に和文化に触れていただけるように、入りやすい入口として日本茶カフェを併設。和文化のイベントプロデュースや、東京観光財団、観光庁の事業でインバウンド向けの和文化コンテンツ制作などを主軸としています。
現在の活動を始めるきっかけは、2018年頃から北千住で有志で、和文化イベントをしてきたことでした。縁日スタイルにしたり、クイズラリーを交えたりしながら、敷居を下げて子供たちや地域の方が広く和文化に触れられるようにしたいと始めたものです。その活動の中で商店街や町会の方とつながりができ、足立区でも和文化推進の取組も始まりました。応援してくれる方が増えて行く中で、単発のイベント後に参加者から「続けて習うにはどこに行けばいいのですか」という声も上がるように。継続的に和文化が体験できて、相談やコーディネートができる場があればと、2020年に和文化体験の拠点としてrojicoyaをオープンしました。

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和文化を広めたいのは、自信と誇りをもち、納得して生きてほしいから

和文化に関する活動をしているのは、看護師時代の影響も大きいです。末期の病気の方の多くが死の間際に「もっとちゃんと生きたかった」「家族を大事にしたかった」などと人生での後悔を語るんです。病気ではなくても、悩みを抱え、自分自身を見失うなど、本当に自分らしい人生を生きられている人は多くないと感じます。出産し、わが子を子育てをする中で、人々が自分の心の声を聴いて、納得できる人生を生きられたらいいなという想いが強くなりました。自分に向き合うにも、核となるもの、アイデンティティが必要です。その方法が、私の中では自分が生まれたルーツを知ること、和の文化だったのです。
大学時代に中国やタイ、インドを訪れたのですが、どの国の子たちも自分の国のいいところや民族衣装のことなどに詳しくて、自信満々に聞かせてくれました。すごくかっこよくて、心から尊敬できたんです。当時の私は、書道は長くしてきたけれど、他の和文化のことはほとんど知りません。この国に生まれたからには、やっぱり何か意味があると思うんです。誇りに満ちた海外のこどもたちの影響を受けて、自信をもってより良く生きるためにも、ルーツである日本の文化に触れて、素晴らしさを知ることが大事だと思うようになりました。自分を知ることで、他に目を向けられる。互いの文化・違いを否定するのではなく認め合って、活かしあう、その先に社会の発展があると思っています。

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街に恩返しをしたい思いも

福岡出身で、大学時代はつくばで過ごした私が北千住で起業したのは、この街の居心地がよかったから。宿場町として栄え、今もいろいろな地域から来る人の多い北千住は、来る者拒まずの、人懐っこくてお節介な土地柄だそう。福岡を出てから引越しを7回経験しましたが、このあたたかさに惹かれて大学時代途中からここに移り住みました。
全国的にシャッター商店街が増える中、北千住には14もの商店街が残っています。たださまざまな課題を抱え、風情のよかった北千住の商店街も崩れ始めているということを、起業前に区内の別の商店街とイベントを行ったときに知りました。商店街の餅は餅屋で得られる生きた知識も生まれるコミュニケーションも、日本のよさの一つです。一緒に何か、特色のある面白い活動を商店街でしてみたいと常々思っていたところに、書道の展覧会で借りたこの古民家を借りてみないかとお声掛けいただきました。行きつけの飲み屋やお母さんと呼べる人もできたこの街に恩返しをしたい気持ちがあったので、やってみようと決めました。

路地裏寺子屋 rojicoya/ろじこや 米本 芳佳 氏

コロナの影響で利用することになった若手・女性リーダー応援プログラム助成事業がプラスに

この古民家を借りる話を進めていた頃に、コロナウイルスが流行しました。すでに開業準備中で、さまざまな方を巻き込んでいる状況。開業当初から営業できない期間があるのは大変だけれど、実現したらすごく有意義だと思っていたので、何とかするために探して見つけたのが、都内の商店街での開業助成金が出る「若手・女性リーダー応援プログラム助成事業」です。
商店街を街ぐるみで盛り上げる助成金は、私の目的とも合致していて、親和性が高いと感じました。助成金を活用するのは初めてでしたが、締め切りまであと数日。期間が短く徹夜での作業とはなりましたが、やりたいことは明確だったので書類に想いを十分に書くことができ、駆け込みで提出しました。
申請には商店街理事長の承認も必要だったので、知人につないでいただき早い段階でご挨拶するきっかけになったのも、今思えば良かったです。とても熱心な良い方で、あのタイミングでお話を伺えて、商店街の一助となりたい気持ちも強まりましたね。

路地裏寺子屋 rojicoya/ろじこや 米本 芳佳 氏

起業を目指す方へのメッセージ

迷う気持ちがあるのなら、小さくでも始めてみるのが良いと思います。やろうと思ったときが熱量も情勢も旬だと思うんです。勉強して、準備してから始めようと1年、2年と時間が経つと、旬が過ぎてしまいます。イベントであったり、講座であったり、小さくはじめ、反応を試したりニーズを探る方法はたくさんあります。
一方で、覚悟を決めて起業して旗揚げしたからこそお付き合いができる段階の方もいます。メディアで取り上げていただきやすくもなりました。事業として広がるということは、持続可能性として信頼となります。妊娠中かつコロナウイルスが流行する中だったからこそ、人に頼ることも覚えて活動を広げられたと思っています。協力者が増えると加速します。起業するために学ぶことも必要ですが、起業してからの学ぶことや得られることも本当に多いです。あなたの世界観はあなたにしか作れないと思います。是非「やりたい」という声が聞こえたら、小さなことからでも始めてみてください。

記事内の創業・成長支援事業

若手・女性リーダー応援プログラム助成事業

公益財団法人東京都中小企業振興公社では、リーダーとなり得る女性及び若手男性が都内商店街での新規開業に当たり、工事費、設備・備品導入費、店舗賃借料等に要する経費の一部を助成することにより開業を支援し、都内商店街の活性化を図ります。

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