1. 株式会社ぴんぴんころり 代表 小日向えり⽒

東京都創業NETインタビュー

株式会社ぴんぴんころり 代表 小日向えり⽒インタビュー

株式会社ぴんぴんころり 代表
小日向えり⽒
1988年生まれ。奈良県出身。歴史アイドルとして活動中の2012年に歴史グッズ通販サイト「黒船社中」を主催。後の2017年7月に高齢者支援事業である株式会社ぴんぴんころりを創業。お母さん代行サービスである「東京かあさん」を展開している。
東京かあさん Webサイト

シニアの生きがいを創出し、生涯現役社会をつくる

いつも元気だった祖母の入院が“転機”に

10代の頃から歴史アイドルとして活動する一方で、経営者として事業を展開していた両親や親族の背中をみて育ってきたこともあり、タレント活動と平行して歴史グッズを販売する通販サイトを運営。あくまでタレント業がメインだったこともあり片手間程度の運営でした。そんな私に転機が訪れたのは「祖母の入院」でした。80歳まで現役で働いているほどいつも明るく元気な祖母が、仕事を退職した途端声に覇気がなくなり、ついには怪我で入院をしてしまったんです。あんなに元気だった祖母が入院するという事実がすごくショックで。その時に、「仕事をすることで生活に張りが出て健やかに過ごせる。何かしら社会と関わる事が健康の秘訣だったんじゃないか」と思い、漠然と「シニアの方がいつまでも元気で過ごせる環境を提供したい」と思うようになっていきました。

シニア向けのビジネスを展開する企業の活躍が起業のきっかけに

タレント活動が順調だったこともあり、起業に向けてすぐには行動できずにいたある日、起業家の友人に誘われ「ベストベンチャー100」というイベントに遊びにいきました。そこで、シニアの就労支援を行なっている企業が賞を受賞。私が漠然と思い描いていたビジネスのフィールドで活躍されている事業を目の当たりにし、「私もシニアの知見を生かしたビジネスを展開したい」という思いが明確になっていきました。そんな中、高齢者ビジネス領域で出資先を探している方がいると紹介をしていただく機会があり、登記前にもかかわらず出資のお話をいただきました。さらには、出資元の方のアドバイスもあり、あれよあれよという間に株式会社ぴんぴんころりを起業することに。そこからビジネスの展開に向け、知り合いをつてに仲間を集めビジネスアイデアを出し合っていきました。

株式会社ぴんぴんころり 代表 小日向えり⽒インタビュー

失敗を繰り返し見えてきた現在のビジネスの形

起業から半年が経ち、50歳以上の男性のユニークなスキルを販売するマッチングサイトを立ち上げました。ですが、蓋を開けてみるとハイエンドなシニアの方に注文が偏ってしまい、当初の「普通のおじいちゃん、おばあちゃんが元気に働けるようなビジネスを展開したい」という思いとズレを感じ3ヶ月ほどで事業をピボット。次に洗濯物代行サービスを検討するも、「人と人との関わりが生まれない」と事業展開するまでには至りませんでした。そんな時、出資元でもある弊社のアドバイザーから「洗濯よりサービスの幅を広げてみたら?」とアドバイスを受け、お節介な家事代行という現在の「東京かあさん」の原型アイデアが生まれました。

利用者の方の声から誕生した「東京かあさん」

お節介な家事代行ビジネスを展開するにあたり、需要があるかどうかの検証を開始。新聞の折込み求人でかあさん人材の募集をかけ、友人ベースで実際のサービスを利用してもらった結果、「一緒に料理を教えて欲しい」「育児をサポートして欲しいと」いう声を多くいただき、家事代行ではなく「第二のお母さん」としてビジネスを展開していくことに。サービスローンチにあたり、フルコミットして事業を支えてくれるメンバーが加入してくれたこともあり、「東京かあさん」の運営がスタート。当時まだタレント業も順調で並行してのビジネスだったのですが、「東京かあさん」が軌道に乗り出し、100%の時間と力をビジネスに注ぎたいとタレント業を引退し365日「東京かあさん」のことだけを考える日々がスタートしました。

株式会社ぴんぴんころり 代表 小日向えり⽒インタビュー

社会情勢の変化で見えたサービスの価値

ビジネスに専念する日々の中で、起業家の友人達が参加していて興味のあった青山スタートアップアクセラレーションセンター(以下、ASAC)に応募。ある程度事業が軌道に乗ってきてからの参加でしたが、現在も運用を続けている自社メディアは、講師の方からのマーケティング対するアドバイスがきっかけで取り入れたりと、ダイレクトに事業に繋がるアドバイスをいただきました。何より数百社ある応募企業の中から選出していただけことが自信に繋がりました。さらには、芸能の仕事をしていたこともあり、テレビや新聞で事業のことを大きく取り上げていただき、「東京かあさん」の運営も右肩上がりに伸びてきた矢先、社会情勢が一変。コロナ禍で利用者数が激減してしまう事態に。何か策はないかとメンバーとアイデアを出し試行錯誤していましたが少しずつ利用数も回復。利用者の方に話を聞くと「家族当然の東京かあさんの体調に何かあったらとお願いできなかった」と言ってくださる方が多く、「東京かあさん」と利用者さんの繋がりの深さに、改めてこのサービスの価値に気づくことができました。

第2のお母さんを持つ文化が当たり前になるという新しい社会の創出

「東京かあさん」はやりたいことのごく一部にすぎません。現在は、女性シニア対象のサービスなので、男性シニアの就労支援も行っていきたいと考えています。さらに、これは大きな夢なのですが、今「東京かあさん」に登録してくださっている方を見ていても学ぶ意欲がすごく高い方が多くて。そういったシニアの学びたい気持ちに答えられるカルチャーセンターのような、学びの機会を作ったり、働いたり、趣味を楽しんだり、運動したり、「ピンコロクラブ」のようなコミュニティを最終的には作っていきたいなと思っています。その夢のために、今は「東京かあさん」を必ず成功させなければいけないと考えています。あとは、夢を叶える上で、誰よりも自分の思い描く世界を信じてきたいと思っています。第2のお母さんを持つ文化が当たり前になる世界を誰よりも強く信じて、その世界を常に私が見て広めていきたいです。

株式会社ぴんぴんころり 代表 小日向えり⽒インタビュー

起業を目指す方へのメッセージ

今は昔に比べ、1円法人や出資など自己資金がなくても、事業アイデアや強い思いがあれば応援し支援してくれるなど、環境面ですごく恵まれていると思うんです。本当リスクなくやりたいことにチャレンジできる時代だと思っています。私も、タレントを辞め事業を立ち上げたことは後悔していないですし、すごく毎日が楽しいです。なので、リスクを恐れずにやりたいことがあるのであればどんどんチャレンジして欲しいです。

記事内の創業・成長支援プログラム

⻘⼭スタートアップアクセラレーションセンター

5か⽉間のアクセラレーションプログラムを通して、アクセラレーターや先輩起業家、さらには⼤志を持った多くのメンター陣の⽀援を受け、リーディングカンパニーへと成⻑するための機会と場を提供しています。特に⼥性起業家や成⻑産業等、東京都の政策課題に取り組む⽅々や、ソーシャルやものづくり等、ベンチャーキャピタル(VC)が投資しにくいといわれる分野で起業に取り組む創業予定者やスタートアップ企業をメインのターゲットにしています。

PAGE TOP