1. SAKE Generation株式会社 島崎かおり 氏

東京都創業NETインタビュー

SAKE Generation株式会社 島崎かおり 氏

SAKE Generation株式会社
島崎かおり 氏
国際基督教大学(ICU)を卒業後、野村證券株式会社などを経てコカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社に入社。同社在籍中にシカゴ大学エグゼクティブMBAコースに留学し、卒業要件のビジネスコンペティションにて決勝進出。2019年にビジネスコンペティションから生まれたプレミアム日本酒ブランド「ICHID°」を展開するSAKE Generation株式会社を設立する。
SAKE Generation株式会社 ICHID°ブランドサイト

日本の優れたモノ・コトを世界に発信して、次世代につないでいく

日本酒を皮切りに日本文化を世界に発信

高校時代に留学で訪れたスウェーデンで、日本人としてのアイデンティティを強く感じたことから、昔から日本の優れたものを世界に広めたいという思いがありました。飲料業界在籍中にシカゴ大学エグゼクティブMBAコースに留学したのですが、その際に海外では日本食人気は高いものの、日本酒の認知度は低いことを知ります。そこで、日本酒の魅力を掘り起こそうとクラスメイトとともにビジネスコンペティションに挑戦することに。審査員である投資家から高い評価を受けたことがきっかけで、本格スパークリング酒「ICHID°(いちど)」を展開する法人を立ち上げました。
チーム内にシャンパン業界の方がいたこともあり、まずは欧米のお客様に受けいれられる味わいの追求や、協力していただける酒蔵のリサーチから始まりました。ICHID°は最も手間のかかるシャンパン製法を採用していますが、これはシャンパンに引けを取らない製品を生み出すためです。ハイエンド向けのレストランやバーへの参入も視野に入れているため、現在はICHID°の輸出事業のみならず、日本食文化を広めるためのイベント事業、英語版きき酒師資格の開発をはじめとしたエデュケーション事業と、3本の柱で事業を進めています。

SAKE Generation株式会社 島崎かおり 氏

事業の原体験である高校時代のスウェーデン留学

現在のビジネスの原体験となっているのは、高校時代に留学したスウェーデンでの出来事でした。ホームステイ先が、スウェーデン人のマザー、スペイン人のファザーで、さらには韓国人とコロンビア人の養子がいるという家族全員の国籍が違うホストファミリーだったため、私を含めたそれぞれの文化が異なっていたのです。だからこそ、日本人のアイデンティティをもって世界に日本の良さを広めていきたいという思いは当時からありました。
ただし「日本文化を世界に広める=起業」であるとは思っておらず、企業に所属しながら世界に打って出るという可能性もあるとは考えていました。そんな折に、シカゴ大学エグゼクティブMBAコースに留学することになり、たまたま出会ったベルギー人、ベトナム人、アメリカ人のクラスメイトたちとスタートアッププロジェクトに参加することに。チーム6人で欧米仕様の日本酒事業のプランを練った結果、ビジネスコンペティションで最終決戦まで残ったため、MBAコース修了後に法人を設立。2019年には酒販免許も取得しました。

APT womenへの参加で広がった起業家ネットワーク

MBAコースに参加したものの起業するつもりではなかったため、起業家一年生としてできるだけ多くのアクセラレータープログラムに参加したいと思い、APT womenやX-HUB TOKYOのニューヨークコースを利用しました。
APT womenへの参加はICHID°の輸出開始の時期と重なったことから、営業活動の合間にオンラインプログラムを受講したり、日本とアメリカを往来する時差のある中で参加したりと、かなり大変だった記憶があります。とはいえ、まだまだ数が少ない女性起業家の皆さんに出会えるなど参加は有意義なものでした。
周囲に起業家の知り合いが少なかったこともあり、APT womenを通じて知り合った方々から情報を得たり、困ったときにディスカッションをしたりと、アクセラレータープログラムへの参加は起業家一年生の力になることばかりでした。

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海外進出への足掛かりとなったX-HUB TOKYO

X-HUB TOKYOではニューヨークでピッチを行ったのですが、その際に韓国の投資家さんが興味を持ってくださり、ニューヨークのアルコール業界の方と繋いでいただくきっかけにもなりました。その方々には世界で闘うためのビジネスの方法なども教えていただいたのですが、海外の人々とタッグを組んで仕事を広げていくには、意識しなければならないことが多々あると感じました。
また、実際にアメリカに来て分かったことなのですが、欧米での日本酒のシェアは1%以下と、ICHID°は非常にニッチなプロダクトです。そのため、日本酒単体ではイベントを行ったとしても数千人規模にしかならないため、数万人規模までリーチできるような日本食と日本酒を掛け合わせたイベント事業を行うことで、日本酒の認知度を高めようとしているところです。アメリカ進出5年目を目処にICHID°の認知度もさらに高めつつ、ソムリエやバーテンダーの方々への日本酒の知識向上にも力を入れていこうと動いています。

SAKE Generation株式会社 島崎かおり 氏

起業を目指す方へのメッセージ

ICHID°はパートナーとなる酒蔵探しの時点で半年以上かかっただけでなく、初めてとなるオンラインプラットフォームの立ち上げに、インポーターや現地の営業マン探しと、年を重ねるごとに新たな挑戦があります。
決して楽な道ではありませんが、日本のいいものを世界に広めて次世代につなげていきたいというビジョンのもと一歩一歩着実に前に進めています。
私は人生の最期を迎えたときに後悔しないかどうかで進む道の選択をしています。皆さんも人生のゴールを考えた際に起業という選択肢がマッチするのであれば、チャレンジすることをおすすめします。

記事内の創業・成長支援プログラム

Acceleration Program in Tokyo for Women「APT Women」

APT Womenは、スケールアップを目指す女性ベンチャーに対し短期集中型育成プログラムを提供することで、スケールアップに必要な経営知識やスキル、それらを共有するベンチャー企業同士の繋がり、更に事業展開に欠かせない協力者・支援者(ベンチャーキャピタル、メディア、大企業等)とのネットワークの獲得を支援します。

X-HUB TOKYO GLOBAL STARTUP ACCELERATOR

X-HUB TOKYOでは、世界市場を目指す起業家に対する情報提供、東京発グローバルスタートアップとなるポテンシャルのある起業家に対するグローバル市場へのアクセスの機会を提供します。

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