1. 株式会社Bogunov 代表 ボグノフ 愛臨 氏

東京都創業NETインタビュー

株式会社Bogunov ボグノフ 愛臨 氏

株式会社 Bogunov
ボグノフ 愛臨 氏
高校卒業後に単身渡米。2012年米エルカミーノコミュニティカレッジ首席卒業。2014年UCLA卒業。2014年ソフトバンク株式会社入社、国際営業本部でアカウントマネージャーを務める。2016年夫でありエンジニアであるボグノフ・コンスタンチン氏と国内外でスマホアプリの受託開発を行う株式会社Bogunov設立。2018年ソフトバンクを退社後は、アメリカ、スペイン、オランダ、イタリアを転々としながらリモートワークを行い、2019年に東京に戻る。3、2、0歳の子育て中。
株式会社Bogunov Webサイト

サブスク業界に新しいサービスを。そして子どもが未来を選択できる社会を

サブスクの解約をとどまらせ、改善するサービス

Bogunovは、スマートフォンアプリのサブスクリプション解約率を自動で改善するsubgrowを提供しています。ユーザーが解約のボタンを押した直後から、解約しようとしているユーザーの解約理由にあわせたプロモーションをユーザーのスマートフォンに送信し、解約をとどまらせるといった機能をもつ国内初のサービスです。Apple、Googleサーバーから入手した顧客の解約理由を閲覧したり、分析したりすることもできます。
会社に勤めていた時の同期がスマホアプリの開発を担当していて、外部企業に開発を依頼していたんです。私は海外で生活していた時期が長かったので、日本でUXを重視した海外でも通用するデザインが少ないと感じていました。そこで友人を介して知り合ったエンジニアである夫に相談すると私たちもチャレンジできると感じ、スマホアプリの受託開発を始めました。会社勤めをしながら2016年にBogunovを設立したので、朝7時くらいから出勤して、定時になったら即退社。急いで帰宅して夜中まで作業したり、お客さまを訪問したりとめまぐるしい日々でしたが、これは組織の仕事ではなく私の仕事で、私のお客さまだと思うと楽しくて仕方なかったです。

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自分の人生を自分で決めるために独立を選択

設立当初はお客さまが納得してくださるビジネススキームが定まらず、試行錯誤を繰り返しました。お客さまからお叱りを受けることもありましたが、期待されているからだと受け止めて学習を重ねていきました。
Bogunovを設立して2年後の2018年に退社したのは、ビジネススキームも確立され、顧客が増えたからということもありますが、お金よりも時間のほうが大事だと強く思うようになったからです。会社の環境は恵まれていたとは思いますが、自分が思い描いているキャリア設計を、日本の組織の中で実現するのは難しい。例えば自分の結婚したい時期や妊娠したい時期を自分の都合だけで選択はできず、どうしても周りのことを考えなければいけません。自分のライフプランを実現するには、組織に属しているのではなく、自分の会社で働くしかないと思うようになりました。
そのあたりから、サブスクのユーザー維持が大変だという話をお客さまから聞く機会が増えました。予算も時間も投じて新規ユーザーを獲得したのに、継続的に利用されないという相談が多かったので、サブスクの解約理由を解析できるサービスとしてsubgrowを開発しました。夫が、Apple社が毎年開催している世界開発者会議(WWDC)に、参加し続けてきたこともあって、サブスク部門の方からアドバイスをいただいたことも後押しになりました。2019年のことです。

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成長するための環境、コミュニティの重要性を実感

子どもを寝かしつけた後にFacebookを見ていたら偶然、APT Womenの第7期受講生募集の記事が目にとまりました。女性起業家を支援してくれて、シリコンバレーやシンガポールにも行ける。これは応募しなくてはと、締め切りの2時間前でしたが書類を一気に書き上げて提出しました。よく通過できたなと思っています。
参加して良かったのは、コミュニティができたことです。人間は弱いところもあって、自分で目標設定したことを守れなかったとしても、まあ仕方ないなと受け流してしまいがちです。つまり目標を達成するには誰かの目が必要だと思っています。APT Womenで出会った人たちが、どこかで毎日がんばっている。その姿から刺激を受けて、「あの人は前に進んでいるのに、私はここで止まってちゃダメだ」と前向きになれます。自分の子どもを見ていても感じるのですが、人間はつくづく環境の生き物なのだと思います。自分が成長するための環境は自分で選択しなければいけない。だからAPT Womenで私が前進していくためのコミュニティに参加できたことは、私にとって大きなことでした。

株式会社Bogunov ボグノフ 愛臨 氏

子どもたちが未来を諦めないために

subgrowは現在、ユーザーの行動パターンから、AIで解約理由を解析する機能を開発中で、実証実験を重ねている段階です。世界中を見渡しても、スマホアプリは飽和状態です。新規ユーザーの獲得はますます難しくなっていることもあり、維持することに注目が集まっています。例えば年会費をオファーするタイミングや、年会費の開始のプライシングプランの実施など、解約につながりやすいポイントを押さえ、AIデータで解析することで解約を未然に防ぐことにつながれば、今まで以上に役立つサービスになるはずです。subgrowを成長させていくことで、顧客離れに悩む方々をさらに支援していきたいです。
それから私の娘が大人になった時に、「結婚したから、子どもができたから、夢を諦める」と言われたら、親としてこんなに悲しいことってないと思っています。だから私がどちらも諦めない生き方を見せてあげたい。いろいろ大変だけど、ママも子どもを3人育てながら、自分が好きなことをしていた。「だから、私もがんばれる」と娘に思ってほしいです。
シリコンバレーに行った時に、4人の子どもを育てながら取締役をしている女性に会いました。世界を見れば、両立している人もいるんです。両立している人に出会うと、それが自分にもできると思えてくる。要は自分のバリアをどこで取っ払うかだと思います。subgrowで社会の役に立つことも大事ですが、子どもの未来のためにこれからも頑張っていきたいです。

起業を目指す方へのメッセージ

まず、自分を信じてほしいです。私は女性だから特に気になるのですが、日本では自信がないと感じている女性が多いように思います。子どもの頃から減点方式で育ってしまったからか、できて当たり前というマイナス要素だけで見られて、「どうしてできないの」「なぜできないの」と言われ続けてしまった人が多いのかなと感じています。自分が自分自身のことを「何もできない存在なんだ」と思い込んでしまうなんて、とても恐ろしいことです。
自分が自分を信じなかったら、誰が信じてくれるのでしょうか。自分しかいないですよね。自分が過去どれだけがんばったのかということが、自分を支えてくれるし、励みになる。過去の自分が、自分にとっての一番の親友です。
何かを始める時には不安もあります。しかしその不安を乗り越えるからこそ、新しいことに挑戦できます。あの時がんばったから、これもできる、あれもできると、自分が自分を励ましてくれます。

記事内の創業・成長支援プログラム

Acceleration Program in Tokyo for Women「APT Women」

APT Womenは、スケールアップを目指す女性ベンチャーに対し短期集中型育成プログラムを提供することで、スケールアップに必要な経営知識やスキル、それらを共有するベンチャー企業同士の繋がり、更に事業展開に欠かせない協力者・支援者(ベンチャーキャピタル、メディア、大企業等)とのネットワークの獲得を支援します。

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