- トップページ
- 東京都創業NETインタビュー
- FUTURE FASHION INSTITUTE株式会社 秋山 和香奈 氏
東京都創業NETインタビュー
FUTURE FASHION INSTITUTE 株式会社
秋山 和香奈 氏
1975年東京都生まれ。編集アシスタントを経て、成城大学在学中にフリーライターとして独立。ファッション誌を中心に活動を続け、2006年にはクリエイター向けエージェント「LOVABLE」を設立。2019年には社会で実装できる力を育てるために、中高生向けインターンシッププログラムを提供するキャリアデザインゼミ「FFi」の前身となる、中高生向け体験型スクール「FFi PROJECT」を始動。2020年12月に「FUTURE FASHION INSTITUTE Co.,Ltd.」を立ち上げる。
フューチャー ファッション インスティテュート株式会社 コーポレートサイト
好きなことで活躍する未来を。一流の体験から学ぶキャリアデザインゼミ
素敵な大人に出会うことが未来への第一歩
プロフェッショナルな人々が活躍する現場を中高生に体感してもらうキャリアデザインゼミ「FFi」を運営しています。本来のキャリアとは、自分に合うイキイキと働ける場所で仕事を楽しむことだと思うのですが、今の子供達の周りにライスワークだけになって疲弊している大人が多いという現状があると感じたのです。だからこそ今の子どもたちには、好きなこと、得意なことといった物差しで仕事を選んでもらいたいと考えています。
そこで私は前職のファッションライターでの知見を生かし、まずはファッション業界のトップクラスの現場を中高生に体感してもらうプログラムを立ち上げました。自分らしい進路や働き方に向けて動き出すには、早い段階で活躍するかっこいい大人たちに出会い、憧れることが一番の近道です。
現在はファッションだけでなく、ビューティー、ライフスタイル、ミュージックといったクリエイティブ業界全般まで広がりつつありますが、根底にあるのは子どもたちにワクワクしながら働く大人の姿を見てもらうこと。オープンカンパニーで社内を見学したり、一流の活躍する大人の方に直接キャリアインタビューをしたり、またグループワークで社内課題に本気で向き合うなど、オフラインの体験ならではの内発的動機や好奇心をかき立てる刺激的なメニューを用意しています。
「好き」や「得意」から未来の姿を想像する
雑誌が大好きだったこともあり、大学在学中からファッションライターとして働いていました。母から「手に職を付けなさい」と言われ続けてきたことも一因かと思いますが、好きなことを突き詰めていたらフリーランスのライターになっていたというのが正しいのかもしれません。その後、子どもが産まれたことで教育への関心が高まり、社会への視野を広げるためのサポートをしたいと思うようになったことが起業のきっかけです。
今の子どもたちは大学入学後に「どこの会社を受けよう」と慌てて社会に出る準備を始めますが、本来ならば大学を選ぶ前の時点から、社会の良いところも大変なところも知ることが大切ではないでしょうか。得意なことや好きなことを生かすためには、どういった進路を歩めばよいかを考えるきっかけになると思うのです。
私の周囲には、自分の好きなことを突き詰めてワクワクしながら働いている大人がたくさんいます。そういう人たちの生の姿を子どもたちに見せれば、強く伝わるものがあるのではとの思いからFFiのアイデアは生まれました。
3度目の正直で受かったAPT Women
ファッションライター時代に一緒に働くスタッフから「エージェント会社を立ち上げてほしい」と言われて事務所を設立したため、実は起業は今回で2度目です。とはいえ、エージェントにはノウハウがあるのに対してFFiは誰も見たことがないビジネスとあり、どう起業すればよいのか全くわからず途方に暮れていました。そこで、探しにさがして辿り着いたところが「APT women」でした。
APT womenに挑戦する人たちは起業のお作法を学んでいることが多いのですが、私はビジョンもミッションも定まっておらず、プレゼンテーションで行われた5分間のピッチでは自己紹介をするのみ。そんな状況だったため、2回も落選してしまいました。けれども、落選するたびにコミュニティマネージャーの方が的確なアドバイスをくださったおかげで、3度目の挑戦でようやく合格を勝ち取ることができました。APT womenは入ってからも素晴らしい場所でしたが、入る前のご指導によっても起業家として磨かれたと感じています。
起業家ならば学びの場を確保したい
APT womenでは周囲の起業家たちが加速しているので、私も自然と突き動かされました。しかも起業家同士の横のつながりを作ってくれるため、スタートアップならではの情報や悩みを共有できるんですよね。いまだに同期と集まると、お互いの事業の話で盛り上がるのですが、思いも寄らないトラブルに見舞われるなど、誰もが起業家として苦労を重ねているのだと感じます。
その後もさまざまなアクセラレーションプログラムに参加しましたが、APT womenはメンターの質もプログラムの内容も素晴らしく、最初に選んだ場所がここで本当によかったと感じています。起業家は学びの場を持つべきだと、この体験を通して強く実感したため、知り合いにもAPT womenをおすすめしました。
ゆくゆくは事業の全国展開も視野に入れているため、NEXs TokyoやTokyo Innovation Baseなど、地方との連携を図る支援事業への参加も検討しています。スタートアップは予算が限られているため、せめて学びの場だけでも最大限に活用したいと、都の支援事業は隅から隅まで見ていますね。
起業を目指す方へのメッセージ
私自身、好きなことを突き詰めていったら今の場所に辿り着いたため、流れに逆らわないことが大切なのだと思います。これまでの経験から、人生はタイミングと運、そしてコネクションに大きく左右されると感じているため、流れが来たときには、その方向には何かがあるのだと信じて進むようにしてきました。
この事業は中高生向けのキャリアデザインゼミとしてスタートしましたが、今では大学で講義をする人を探して欲しい、ファシリテーターをやってほしいといった、さまざまな依頼も舞い込んでくるようになりました。この事業の最終目標は、各々のスキルや興味を活かして、適材適所で働ける社会をつくること。だからこそ、新たな依頼も流れに乗っているといえばそうなのかもしれません。やりたいことはすべて自分の意思で選んできた結果として、起業家としての今の私があるのだと思います。
記事内の創業・成長支援プログラム
Acceleration Program in Tokyo for Women「APT Women」
APT Womenは、スケールアップを目指す女性ベンチャーに対し短期集中型育成プログラムを提供することで、スケールアップに必要な経営知識やスキル、それらを共有するベンチャー企業同士の繋がり、更に事業展開に欠かせない協力者・支援者(ベンチャーキャピタル、メディア、大企業等)とのネットワークの獲得を支援します。