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東京都創業NETインタビュー
株式会社MentaRest 飯野 航平 氏
1996年生まれ。高知大学・地域協働学部を卒業後、GMOグループにて新規営業を担当。営業トップの成績を収めるも働きすぎによるメンタルダウンを経験したことから、2021年9月に株式会社MentaRestを設立。メタバース空間にて気軽に楽しく相談ができる企業向け心理カウンセリングサービス「MentaRest」を展開し、近年急増するメンタル不調の予防に尽力している。
株式会社MentaRest コーポレートサイト
メンタル不調を気軽に楽しく予防する、メタバースでの心理カウンセリング
メタバースでメンタル不調を整える
メタバース空間を活用したメンタル不調の未然予防サービス「MentaRest」の開発・運営を行っています。既存の心理カウンセリングサービスの場合、病院に訪れた段階ではすでに症状が悪化していることも少なくありません。MentaRestに在籍するカウンセラーの中にも「少しでも早くお話の機会あれば軽症で済んでいたのに……」と考える人が多いのですが、だからこそ私たちは不調者の早期発見・対応を目的とした未然予防に力を入れています。
通院によるカウンセリングとなると心理的ハードルは高いですが、自分の分身となるアバターがメタバース空間でカウンセリングを受けるというのは、ゲーム性もあり気軽に利用しやすいかと思います。とはいえベースにあるのは、リアルな人と人とのコミュニケーションです。現在は都内にスマートサービスを実装していくことで、都民の暮らしの利便性・QOLを高める東京都のプロジェクト「Be Smart Tokyo」にも参画するなど、都内で働く方々のメンタルヘルス予防にも力を入れています。
働き過ぎによるメンタルダウンの経験を生かして
私は全国初の学部として設立された高知大学・地域協働学部の一期生として入学しました。協働を通じて地域社会の・再生発展に挑戦する学部とあり、起業家育成のようなプログラムも受けました。大学在籍中に起業する人たちが身近にいたことから、いずれは私も起業しようと考えてはいたのですが、これだというアイデアは見つからないまま。そこで起業を検討するなら組織の仕組みを知らなければとの思いから、入社後4年以内の独立を見据えて就職活動を始めました。
私の思いを汲んでくれたGMOグループに入社した後は、新規営業を担当することになりました。誰よりも早く出社するといったマイルールを設けてバリバリ働くことで営業成績はトップを誇っていたのですが、家と会社の往復だけが続くなかでメンタルダウンを経験。その経験から、通院する手前の段階で気軽に楽しみながらケアできる方法はないかと思いついたものが現在の事業です。在宅ワークなどでメンタル不調を抱える人々が増えたコロナ禍だったこともあり、今が起業のチャンスだと会社は丸2年で退職しました。
未然予防という同じビジョンを持つ仲間を探す日々
私自身は心理学やメタバースに関する知見はなかったのですが、好奇心が強いこともあり、詳しい方に教えてもらいつつ独学で学びながら一人で創業準備を進めました。
なかでもサービス立ち上げと同時に奔走していたのが、カウンセリングを担う心理士さんを探すことでした。サービスに賛同してくださる心理士さんを探していたところ、マインクラフトを活用した復職支援プログラムを開発している方がいたので、親和性の高さを感じて、まずはその方が働いているクリニックにアタック。予防の部分に力を入れたいという思いがあったことから、MentaRestのメンバーとして参加いただくことになりました。メタバース上でのカウンセリングという新しい取り組みのため、最初は心理士さんも戸惑うことがあったようですが、未然予防という共通するビジョンが合致したことが何より大きかったと思います。
MentaRestは予防の部分からスタートした事業ですが、今後はパートナー企業と連携を取りつつ、治療や復職サポートまでを一貫して提供できる仕組みをつくりたいと考えています。アバターも現在は利用者の単なる分身のようなものですが、ゆくゆくは利用者に必要な情報を収集するアバターや、リモートワークの人たちが雑談できるような場をメタバース上でつくっていきたいですね。
起業家仲間との絆が深まったASACの合宿プログラム
さまざまなアクセラレーションプログラムに参加したのですが、なかでもASAC(青山スタートアップアクセラレーションセンター)は、施設に併設する合宿所で講座を受ける1泊2日の合宿プログラムがあり他にはない経験でした。合宿に参加した仲間たちは、それぞれ事業領域は異なるものの、皆が同じステージで同じ方向を見ていることもあり、関係性は深まりました。合宿があったからこそ、当時の仲間とは今も連絡を取り合っていますね。
シードラウンドでの資金調達に加え、専門的なアドバイス・戦略的な支援を受けるためにASACに参加しましたが、実際にメンターさんが伴走支援してくださったこともあり、その都度相談に乗っていただける環境でした。私は主に営業や集客の部分について相談をしたのですが、イベント出展をはじめとしたマーケティングの施策についてアドバイスをいただくなど、現状を随時確認しながら進めていくことができました。メンターさんとの壁打ちで培われた経験が、その後の資金調達にも役立ったと思います。ASACは卒業後も施設が利用できるなど、その後のフォローも非常に手厚いですね。
起業を目指す方へのメッセージ
私自身は起業も就職も手段のひとつだと考えているため、自分の生き方やスタイルに合っている働き方はどちらだろうと考えたときに、楽ではないけれども楽しいと思える起業を志しました。皆さん不安を抱えるなかで、時間をかけながらサービスを形にしていくかと思いますが、私の場合は落書きのようにアイデア出しをして、そこである程度の構成を決めてからインプットするリーンスタートアップの手法を取っていました。あれこれ考えてばかりだと頭でっかちになるので、アイデアを思いついたのであれば、まずは人に話してみたりメモに書き出してみるところから始めてみるといいかもしれません。
また私の場合は、上手くいったことよりも上手くいかないことにフォーカスすることが多く、口癖のように「なんかいい方法ないかな」と呟いています。困ったときにこの言葉を唱えると、自分の思考がいい方法へとフォーカスするので、自然と突破口が見つかる事が多いですね。
記事内の創業・成長支援プログラム
青山スタートアップアクセラレーションセンター
5か月間のアクセラレーションプログラムを通して、アクセラレーターや先輩起業家、さらには大志を持った多くのメンター陣の支援を受け、リーディングカンパニーへと成長するための機会と場を提供しています。特に女性起業家や成長産業等、東京都の政策課題に取り組む方々や、ソーシャルやものづくり等、ベンチャーキャピタル(VC)が投資しにくいといわれる分野で起業に取り組む創業予定者やスタートアップ企業をメインのターゲットにしています。