1. 軒先株式会社 代表 ⻄浦 明⼦氏

東京都創業NETインタビュー

軒先株式会社 代表 ⻄浦 明⼦氏インタビュー

軒先株式会社 代表
⻄浦 明⼦ 氏
1969 年⽣まれ、神奈川県出⾝。⼤学卒業後、株式会社ソニーにて南⽶駐在を経験。その後幾度かの転職を経て、38歳での出産を機に事業をスタート。2009 年軒先株式会社を創業。
⾃⾝の経験をもとに、全国の“もったいない“空きスペースを有効活⽤するビジネスを展開している。
軒先株式会社 Webサイト

全国の“もったいない“空きスペースを有効活⽤し、地域活性化に繋げる

軒先株式会社は、気軽に空きスペースでお店が開ける「軒先ビジネス」をはじめ、新たな駐⾞場のシェアシステム「軒先パーキング」、飲⾷店の空き時間を活⽤して開業できる「magari」 など、様々なスペースシェアサービスを展開。新しいスタイルのビジネスとして、創業当時から様々なビジネスアワードを受賞。国内スペースシェア分野のパイオニア企業として、“シェアリング”サービスの普及に努めている。

起業家になろうとは思っていなかった20代

大学卒業当時、起業するつもりなど全くなく、新卒でソニーに入社。入社4年後には南米への駐在が決まり、マーケティングマネージャーとして約6年チリで過ごしました。帰国後、メーカやWEB企業、財団法人への転職と、創業に至るまでサラリーマンとして過ごしました。

そんな私に転機が訪れたのが、「出産」でした。38歳という年齢的なことも考え、会社を退職。とはいえ、一生仕事はしていきたいと考えていたので、自宅で子育てしながら何かできる仕事はないものか…と模索する日々。今までの経験を活かしながら好きな事を仕事にしたいと考えていたので、サラリーマン時代に駐在していたチリから、雑貨を輸入して販売するネットショップを開こうと動き出しました。ただ、当時は事業というほどの規模ではなく、趣味と実益を兼ねたお小遣い稼ぎの気持ちでのスタートでした。

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気軽にお店を開ける場所が見つからなかった経験が起業のきっかけに

チリ雑貨を販売すると決めたものの、今みたいにメルカリなどの簡単に売り買いのできるプラットフォームもなければ、スマートフォンもなく、ウェブショップを開くのも大変な時代。やるからには失敗したくはないですし、大きなリスクを冒したくはなかったので、どこかトライアルでショッップをオープンさせお客様の反応を見てから、本格的に始めようと決めていました。

しかし、いざ探しはじめてみると、短期間でお店を開ける場所が見つからない。商店街などで見かけるウィークリースペースは、1週間の賃料が21万円と銀座の一等地より高い賃料だったんです。テスト販売するには高く、気軽に借りられるような場所ではありませんでした。

たとえ全然商品が売れなかったとしても、勉強になった!という気持ちで、気軽にお店を開ける場所が欲しい。私と同じような思いの方がいるのではないか。逆に、お店のスペースを貸したいオーナーさんもいるだろうと思ったんです。

そういった「両者を繋ぐサービスやシステムがあればいいのにな」と、自分の思いを具現化する形で「軒先ビジネス」がスタートしました。

自ら開拓した「シェアリング」という新業態

ずっとサラリーマンをしていた私は、事業を始める知識が全くなく、0からのスタート。ましてや“シェアリング”なんて言葉も国内では認知されてなかった時代。最初の1年は個人事業として、近所の商店街のお店を地道に回り、軒先何件か登録してもらったところから始まりました。「軒先ドットコム」というWEBサイトを立ち上げ、当初は10件ほどの登録数でしたが、キッチンカーの方から「こういうサービスを待っていました!」というお声を多くいただけたことが自信につながりました。

たまたま時代の流れとサービスがマッチし、大手不動産企業からのオファーも増えてきた頃、もっと色々な角度から軒先サービスについての反応が見たい!と、ベンチャーフェアジャパンというイベントに出展。3日間のイベント中、多くの方が興味を持ってくださり、さらに出展している企業の中で一番いけてる事業に贈られるイケベン賞の最優秀賞に選ばれたんです。その賞を受賞したことがきっかけで出資も決まり、「事業をもっと拡大してより良いサービスを提供していきたい」と強く思うようになり法人化に踏み切り、今年で13期目に入りました。

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小さなステップの積み重ねが大きな実績へと繋がっていく

一人でスタートした事業ですが、出資を機に社員が一人、二人と増えていき、今では社員も、提供しているサービスも拡大しています。

そして、続けることで新たな発見やチャンスに巡りあえたりもします。私自身、今まで我流で事業を進めてきた事もあり、改めて学びの機会を設けたいと思い、昨年APT WOMANというプログラムに参加しました。経営について学べるだけでなく、多くの女性起業家の方たちと出会えたことが大きかったです。共感しあえる存在と出会えたことがモチベーションアップにもつながっています。

新しい働き方を受け入れるためのプラットフォームの創造

起業以来、「顧客第一」でありたいという思いは変わりません。

そして、世の中の変化に伴って、働き方がすごく多様化してきている中で、新しい働き方を受け入れるためのプラットフォームにならなくてはと思っています。

地域との関わりが深いサービスでもあるので、どうやったら街の魅力を引き出せるのか、魅力を引き出すための隙間の活用法を常に探り続け、街の中の様々なニーズに応えられるようなサービスを展開していきたいです。貸す人、借りる人だけでなく、その街と一緒にサービスもより豊かなものになっていけたらと思っています。

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起業を目指す人に向けて

始めたい時が始め時だと思っています。みなさん、子育てが落ち着いてからとか、入社何年までは、と考えてしまう方は多いんじゃないでしょうか。

今やりたいと思った気持ちが何年か先まで続くかもわからないですよね。だからこそ、やりたい!と思った時に始めていただきたいです。小さく初めることはすごく大事なので、小さなかすり傷ぐらいであれば、どんどん走って転んで、経験値を増やしていって欲しいです。

私自身、軽装で山登りを始めて、気づいたら登ろうとしている山はエベレストだったので。
途中で気がついて、必要な装備を調達して、仲間を集めていく形でも遅くないと思っているので、初めから重装備でなくても、まずは、小さなステップから始めてみることが大切だと思っています。

記事内の創業・成長支援プログラム

Acceleration Program in Tokyo for Women「APT Women」

APT Womenは、スケールアップを目指す女性ベンチャーに対し短期集中型育成プログラムを提供することで、スケールアップに必要な経営知識やスキル、それらを共有するベンチャー企業同士の繋がり、更に事業展開に欠かせない協力者・支援者(ベンチャーキャピタル、メディア、大企業等)とのネットワークの獲得を支援します。

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