1. 株式会社MILOQS (ミロックス) 代表 紙田 剛 氏

東京都創業NETインタビュー

株式会社MILOQS (ミロックス) 代表 紙田 剛 氏インタビュー

株式会社MILOQS (ミロックス) 代表 
紙田 剛 氏
1968年町田市生まれ。親の仕事の事情で転校が多く、新しい環境に溶け込むためいい子を演じて、何でも一人で抱え込みがちに。慶應義塾大学理工学部および同大学院を修了。大手建設会社に就職し、カタールで大型のプラント開発に携わる。その後、教育系ITベンチャーに就職するも、1年で会社が倒産。大手商社に再就職しEC部門の立ち上げに参画。しかし、いつまでもやりがいを感じられず将来について行き詰っていたところに、現在のビジネスパートナーと出会い起業を決意、人生の転機が訪れる。
株式会社MILOQS (ミロックス) Webサイト

脳科学とVRアプリでストレス特性を可視化し、セルフストレスケアを実現する

社員の健康に配慮することが企業の持続的な成長につながるという、「健康経営」の考え方が広がっている。職場では、実は、長時間労働よりも、その人の性格傾向や職場の人間関係など、人の内面に関わることがストレス原因になる割合が高い。ストレスの慢性化は、活動への意欲や集中力、創造力を失い、本来の能力を発揮できなくなる。そして、うつ病や依存症など精神疾患や、生活習慣病やガンなどのストレス性の身体疾患をも誘発する。ストレスの源を早期に発見し、自分でケアしたり、ストレス耐性を高めていくことはできないか。そんな思いから、株式会社MILOQSが筑波大学と共同で研究開発したのが、メンタルトレーニングシステムMOODSWITCH®だ。

2000年の初めに米国で注目されていたメンタルヘルスにいち早く注目

株式会社MILOQS (ミロックス) 代表 紙田 剛 氏インタビュー

当社では、脳科学カウンセリング・セラピー技術をベースに開発したメンタルトレーニングシステムを開発し、ストレスに悩む人たちのケアや、ストレス耐性の向上をサポートしています。

もともとはシステム開発を主な仕事としてきた私が、メンタルビジネスに参入した理由は、今振り返ると自分自身がメンタル面で悩みを抱えていたことにあります。

大学受験での失敗を後々まで引きずり、就職してさまざまな仕事に就きましたが、もっと没頭できることがあるはずと、いつまでもこだわり満足できませんでした。大手商社で新規事業の立ち上げプロジェクトを担当していた時も、これが本当に自分のやりたいことなのか、自分はいったい何をしたいのかと、迷っていました。

そこで出会ったのが、現在のビジネスパートナーである松本敦子です。彼女は人材コンサルタントとして早くから独立し会社を経営、2000年の初めに、アメリカで先行し、国内でも注目を浴び始めていたメンタルヘルスの事業をやらないかと声を掛けてくれました。ちょうど自分もメンタル面で悩んでいましたし、直感的に「これは面白いビジネスになるかもしれない」と思ったことから、研究開発がスタートしました。

カウンセラーを介さずにストレスの原因をつきとめ、心の状態を改善していく

2016年に、現在のMILOQSの前身となる「マインドセットリサーチ」という会社を設立。筑波大学名誉教授の宗像恒次博士が提唱するSAT法というカウンセリング技術と、バーチャルリアリティの技術を連携させた、セルフメンタルトレーニングシステムMOODSWITCH®を開発しました。

心に悩みを抱えたら、心理カウンセラーなどに相談する人も多いと思いますが、相性のいいカウンセラーになかなか出会えない、そもそも日常のストレスでカウンセラーを訪ねること自体ハードルが高いという問題がありました。しかし、MOODSWITCH®は、VRやチャットボットアプリを使って、質問に答えていくだけでメンタルの状況を測定・可視化でき、それを改善していきます。問題が重症化していなければ、必ずしもカウンセラーに会う必要はありません。バーチャルリアリティの没入効果を活かし、心地よい景色や笑顔のイメージ画像を見て、脳の緊張を解いていきます。こうすることで、誰しもある不安や傷つき体験を通じて、知らぬ間に身に着いた潜在意識のネガティブな感じ方を、その人が本来持つポジティブな感じ方に切り替えていきます。感じ方を切り替えると、人との関係や物事に対する考え方、見え方が変わり、今までストレスに思っていたことが、気にならなくなるのです。

株式会社MILOQS (ミロックス) 代表 紙田 剛 氏インタビュー

この仕組みの優れた点は、自分が自覚しているストレスの背景にある、無自覚な本当の感情や欲求に気づき、問題解決に役立てられることです。繰り返し続けることで、ストレスからの回復力(レジリエンス)を身につけ、ストレス耐性を高めていくことができます。怪我をしたら自分で手当てをするように、ストレスもセルフケアするスキルを身につけるのです。ストレスに対する自助力を高め、自分らしく活き活きと活動できるようになることが最終的な目標です。

ご縁に恵まれたおかげで、何度も危機を乗り越えた

MOODSWITCH®の開発には長い時間がかかりました。システム開発の仕事を請け負い、その収益で会社を運営しつつ、私自身は筑波大学の大学院で研究を続けていました。何度か「もうだめかも」という危機的な場面はありましたが、そのたびに不思議なご縁に導かれ、助けてくれる人に出会えたり、融資を受けられるようになったりして、ピンチを乗り越えてきました。

2017年2月には、筑波大学産業連携会ベンチャー助成 奨励賞受賞。これにより筑波大学発ベンチャー登録も受けることができ、信頼性も高まって事業が加速。また2017年3月には東京都中小企業振興公社 事業可能性評価の評価事業に選ばれ、2018年に株式会社MILOQS を設立。2019年には東京都主催ASACアクセラレーションプログラム第8期に採択されました。大手企業と契約が取れ、MOODSWITCH®を使った社員のストレスマネジメント力向上プログラムを提供。ようやく軌道に乗ってきたところです。

今問題となっているのは、これまで開発にばかり力を注いできたので、マーケティング面が弱いところです。MOODSWITCH®で何ができるのか、どんな効果があるのか、という体験してみないと伝わりにくい点をどう伝え、必要な人に届けていけるかが、これからの課題だと考えています。

直感を信じ、思い続ければ、必ず道は開ける

起業してよかったことは、自分たちで考えて自分たちで行動できることですね。一寸先は闇と言われますが、一寸先は光、とも言えます。毎日が新しいことへの挑戦で、人生は冒険だと実感できるワクワク感がありますね。

これから起業を目指す人には、「思いが正しければ必ず道は開ける」という言葉を贈りたい。「これがしたい!」と思いついたこと、想像できたことは、実現できることなのです。一見実現可能性のない思いつきであっても、自分がやりたいことなら、その直感を信じてほしい。直感は単なる思いつきではなく、脳内の様々な情報が組み合わされた結果、はじき出された脳からのメッセージなのです。あれこれ考えず、自分の脳のパワーを信じて欲しいと思いますね。

PAGE TOP