1. 株式会社Clean next 西山貴代氏

東京都創業NETインタビュー

株式会社Clean next 西山貴代 氏

株式会社Clean next 西山貴代 氏 2003年より20施設以上のビジネス、シティ、ラグジュアリーホテルにて、客室清掃、インスペクター、チーフ、MGR業務を経験。藤田観光グループ主催の技能コンクールでは、2016年から2年連続で各賞を受賞。ホテル清掃にまつわるさまざまな問題を、実務経験を元にした現場に寄り添う伴走型支援で解決したいとの思いから、2017年6月に個人事業主としてclean nextを開業。教育、指導者数は800名を超え、業務効率を上げるための職場環境の改善にも取り組む。
株式会社Clean next コーポレートサイト

ホテルの価値を高める客室清掃を、キャリアを積む憧れの仕事に

空間を演出するホテル清掃の仕事

約14年にわたりホテル清掃の仕事に従事してきた実務経験をもとに、現場に寄り添った伴走型支援で、業務改善と人材育成に取り組んでいます。事業内容は大きく二つに分けられ、一つはホテル清掃におけるクレーム対応や人材育成の課題を洗い出し、そのアプローチ方法を提案するコンサルティング事業。もう一つは、オープン前のホテルで清掃の基本をお伝えしたり、現場で活躍する点検責任者に同行しながら指導を行う研修事業です。
近年ではホテルのブランドイメージを高めるために、空間演出やターゲットの顧客ニーズをデザイナーやメーカーが重要視するようになってきました。だからこそ、清掃スタッフは単なるメインテナンス要員ではなく、ホテルのブランドを表現する人材。どう育てていくのかが重要になるのです。
私自身、ホテル清掃の仕事にかっこよさを感じて憧れを抱き、この道を選びました。同じようにこの仕事に魅力を感じてくれる方々の先導役として、ホテル清掃の仕事のかっこよさを伝えていくことが、私の務めだと考えています。

株式会社Clean next 西山貴代 氏

外注の多いホテル清掃スタッフにもキャリアパスを

学生時代に流行していたホテルを舞台にしたドラマが、私がホテル清掃の仕事に憧れを抱くきっかけでした。そのドラマでは、ハウスキーピングの方がベッドメイクをするシーンがあったのですが、何重にも折られたシーツをパッと広げてあっという間に客室内を整える姿を見て、まるで魔法みたいだと思ったんですよね。かっこいいと思ったと同時に、汚いところを綺麗にするのではなく、空間をつくるという清掃の仕事が素敵だと思い、それ以来、掃除が大好きになりました。
その後、妹がホテル清掃の仕事を始めたことに感化され、大学生だった私も福岡の中心街にあるホテルでアルバイトを始めました。これが、ホテル清掃の世界に飛び込むきっかけとなったのです。国内のホテル清掃スタッフは7割が外注のため、正直、ドラマのように仲間とともに何かを成し遂げるような場面は、あまり多くはありません。けれども、一清掃スタッフではなく、リーダー的な役割としてキャリアを築くことはできると思っていました。そんなときに出会ったのが、整理収納の分野で事業展開をされている女性起業家の方でした。

株式会社Clean next 西山貴代 氏

起業を後押しすることになった起業塾での一言

女性起業家の方と出会ったことで、自分で仕事を作りあげていくという働き方の選択肢があることに面白さを感じました。そこで起業の世界をのぞいてみようと、軽い気持ちで福岡商工会議所の起業塾を受講したのですが、周りの女性起業家の方々の発信力や熱意に圧倒されてしまったんですよね。それでも勇気を出して「ホテル清掃を憧れの仕事にしたいです」と言葉にした瞬間から、見える世界が一気に変わりました。起業塾を受けてから3カ月後には個人事業主として開業届を提出。そこから2年半ほど福岡で個人事業主として伴走型支援の仕事を行ってきました。
実はその頃からFacebookの広告を通じてAPT Womenのことは知っており、オンラインでキックオフイベントにも参加していました。卒業生の方々が苦労を重ねながらもAPT Womenを通じてやりたいことを実現している姿を見て、こういったマインドをもつ方々を輩出するプログラムに興味を持ちました。当時は対面での参加が必須だったため、福岡から通うことは現実的ではありませんでしたが、「いつかは参加したい」と、ずっと思い続けていたんです。

株式会社Clean next 西山貴代 氏

念願のAPT Womenで事業をスケールアップ

東京の企業と仕事をする機会が増えたこともあり、拠点を東京に移した方がやりやすいと、2019年に上京しました。とはいえ起業仲間も少ないため、TOKYO創業ステーションの無料相談をはじめ、いろいろな場所に顔を出しました。もちろん、APT Womenには何度も挑戦したのですが、最終面接で落ちるなど本当に悔しい思いをしました。3回目の挑戦で第8期生として採択していただきましたが、あのときが自分のマインドをグッとあげて事業を大きく展開できる瞬間だったと思います。
私がAPT Womenにこだわったのは、女性起業家のプログラムには創業塾など創業前後のものが多いものの、事業を大きく広げていくフェーズのプログラムが少ないと思っているからです。現在、東京都の女性起業家向けアクセラレーションプログラム・WE Impact Tokyoも受講しているのですが、これは売上が1億円から10数億円かつ社会的インパクトもしくは経済的インパクトの訴求を目指すものなんです。女性起業家はつい謙遜しがちですが、伴走支援を受けることで、売上の壁も超えられるのだと背中を押してもらっています。

株式会社Clean next 西山貴代 氏

起業を目指す方へのメッセージ

起業をしたいと思ったときには、誰に相談するのかが重要だと思っています。会社勤めをしている方の多くは、起業に対して高いハードルを感じがちですが、すでに起業を経験した人や、起業支援に携わっている人と出会うことで、自分の可能性が見えてくることもあります。もし、身近にそうした人がいない場合は、TOKYO創業ステーションの相談員を訪ねてみたり、支援事業のイベントに参加するのも一つだと思います。
私は、雇用されていようがいまいが、誰かのために行ったことに対して感謝されるという点では変わらないと思っています。社会のニーズと事業がマッチするかどうかの難しさはありますが、自分がやりたいことにチャレンジし続けられる起業という選択肢は、働くことを面白いと思っている方にとってはやりがいのあるものではないでしょうか。
これからは私自身も、単なるホテル清掃にとどまらず、ブランド価値の向上や人を育てていくことに関心のある企業と連携しながら、事業を展開していきたいと考えています。早ければ年内には清掃の請負事業もスタートする予定です。自社で現場を持って実践的なトレーニングを行いながらキャリアパスを描き、将来的には起業や独立も視野に入れて外に羽ばたいていく。そんなホテル清掃の仕事のあり方も必要なのではとの思いからの決断でした。これからも、志は高く持ち続けていきたいですね。

記事内の創業・成長支援プログラム

Acceleration Program in Tokyo for Women「APT Women」

APT Womenは、スケールアップを目指す女性ベンチャーに対し短期集中型育成プログラムを提供することで、スケールアップに必要な経営知識やスキル、それらを共有するベンチャー企業同士の繋がり、更に事業展開に欠かせない協力者・支援者(ベンチャーキャピタル、メディア、大企業等)とのネットワークの獲得を支援します。

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