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東京都創業NETインタビュー

株式会社コレクテスト 岩田翼 氏
5歳からトレーディングカードを集め始め、コレクションは数十万枚というコレクター。リクルートやNTTドコモなどで新規事業や経営企画に携わった後、2023年に株式会社コレクテストを設立。トレーディングカードをAIで真贋鑑定する日本初のVSS鑑定をリリース。ASAC17期受講生。
株式会社コレクテスト コーポレートサイト
日本のIPの魅力が詰まった「トレーディングカード」の価値を世界に正しく届けたい
日本初のトレーディングカード鑑定システム「VSS鑑定」
トレーディングカードが本物かどうかを、AIを使って鑑定するVSS鑑定(バリュースカウターサービス)という日本初のサービスを提供しています。私がコレクションしてきた膨大なトレーディングカードをAIに学習させて構築した、真贋判定ができるシステム鑑定に加え、専門スタッフの最終チェックにより、本物と認められたものだけをクリアケースに入れて鑑定依頼された方にお戻しします。クリアケースは透明度やデザイン性にこだわり、紫外線を97%カットしてカードが劣化しないような工夫もしてあります。クリアケース内にQRコードを読み込むと、現在のカードの価格などの情報も得られます。
AIを活用したのは、人によるチェックに相当な時間がかかるのと、鑑定ミスを防ぐためです。また人による鑑定は、知見が属人化されてしまいがちで、将来的な事業のスケールアップを考えると、事業として成り立たなくなると判断しました。人による鑑定をゼロにはしませんが、鑑定士が最終チェックをして終了という流れをつくるためには、AIが必要だったんです。

日本では定着していない鑑定という価値の可視化
私がフリマ・オークションで購入したトレーディングカードが偽物で、相当悔しい思いをしたこと、トレーディングカードが好きすぎて、四六時中携わりたいという気持ちが大きくなったこと、これからの人生を自分が楽しいと思えることに費やしたいなど、起業した理由を問われると一つに絞れませんし、最初から鑑定が思い浮かんでいたわけではありません。
自分が偽物を掴まされたことなど原体験を掘り起こしていくなかで、自分と同じように悔しい思いをする人を減らしたいと思うようになりました。そこからポケモンカードやワンピースカードなど日本発のブランドも多いトレーディングカードの価値を可視化することで、日本の強みや価値を損なうことなく、世界に広めていきたいと考えるようになり、たどり着いたのが鑑定でした。
アメリカのPSAという会社が、1990年代から鑑定を始め、現在は世界的にその名を知られています。海外では鑑定は当然のように行われていますが、日本のトレーディングカードは、さまざまな企業が出しているので、公正に鑑定することが難しかったのでしょう。またトレーディングカードは、2010年代中盤まではおもちゃと認識されていて、資産とは捉えられていなかったことも影響し、鑑定が広まらなかったのだと思います。しかしPSAでは日本のトレーディングカードも鑑定していますし、世界中にコレクターがいます。必ずニーズがあると思い、事業化することにしました。

メンターによるサポートが手厚く、事業の前進につながったASAC
スタートアップの知り合いから、ASAC(青山スタートアップアクセラレーションセンター)の話を聞きました。スタートアップ界隈の登竜門の一つと言われるASACに自分もチャレンジしてみようと思い、会社を設立して半年後に受講者になりました。
ASACを受講して良かったことが二つあります。一つは、メンターからさまざまな人脈を紹介してもらい、事業拡大につなげられるような企業とつなげていただいたこと。もう一つはマーケティングです。私は広報的な発信業務が苦手で、事業を広めるためには、マーケティングによるPRに努めなければいけないと分かっていながら、手探りで行っているところがありました。そこにも的確なアドバイスをいただけ、PRに努めることができました。
同期との出会いも得難いものでした。ASACを受講資格は起業予定か、起業3年未満のスタートアップで、自分と似たフェーズの人たちが集まります。同期の会社では、資金調達が進んだとか、大手企業と提携したとか、そういう話を聞くたびに、自分も頑張らなければと刺激になっています。

起業に苦労はつきもの。それでも好きなことを仕事にできた幸せ
実際に起業してみると、自分の経験が乏しいこともあり苦戦しています。創業時は社員がほぼいない状態から始めるので、何でも自分でやらなければいけません。やることも膨大にあって、こなすことに必死です。また当社のサービスは、すでに世界的な認知を誇る先駆者がいます。その巨大なライバル社に挑むことは、当初想像していたよりもはるかに難しいことだと気付かされました。他社にはない、コレクテストらしい戦略を考えているところです。
それでも起業して良かったと毎日思います。例えば今朝はポケモンカードの発売日だったので、早朝に起きて販売予定のお店に向かいました。大変だと思われるかもしれませんが、これが私の仕事です。トレーディングカードについて調べたり、記事を書いたりするのも仕事、好きなことが全部仕事に直結しているので、これ以上幸せなことはありません。
現在はトレーディングカードのみですが、日本の文化で世界に誇れるものはたくさんあると思っています。そうした誇れるものを全て鑑定し、価値を可視化していくことで、日本のバランスシートに寄与していくことが将来の目標です。

起業を目指す方へのメッセージ
起業を考えるときに、やはりどこか不安に感じることもあるでしょう。私も不安に思いましたし、実際に上手くいかないこともありました。けれど、いつか、いつかで起業せずにいたら、年をとったときに、過去の自分を嫌いになるような気がして起業しました。
成功するように事業を進めていきますが、世の中に100%ということはありません。何が起きるか分からず、失敗することもあるかもしれません。それでも一度しかない人生のなかで、ここまで頑張ったと心底思いたい。やらずに後悔するのではなく、やって後悔するほうを選びたいです。もしも起業しようかなと考えている人がいたら、ぜひチャレンジしてほしいです。あの時にこうしておけば良かったと思わない生き方、選択をしてほしいですね。
記事内の創業・成長支援プログラム

青山スタートアップアクセラレーションセンター
1クール3ヶ月間(プレシード)/5ヶ月間(シード)の短期集中型アクセラレーションプログラムを通して、アクセラレーターや先輩起業家、さらには大志を持った多くのメンター陣の支援を受け、リーディングカンパニーへと成長するための機会と場を提供しています。特に女性起業家や成長産業等、東京都の政策課題に取り組む方々や、ソーシャルやものづくり等、ベンチャーキャピタル(VC)が投資しにくいといわれる分野で起業に取り組む創業予定者やスタートアップ企業をメインのターゲットにしています。
