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東京都創業NETインタビュー
タイガーモブ株式会社 代表取締役CEO
菊地 恵理子
関西学院大学総合政策学部在学中に1年間休学し、蘇州大学に語学留学の後、上海のインターンシップではホテル業を経験する。大学卒業後に入社した株式会社ジョブウェブでは4年間勤務。新卒採用の営業職に従事したのち、「タイガーモブ」の前身となる海外事業部を立ち上げる。ジョブウェブ退職後、「タイガーモブ」を設立し、急成長するアジア新興国を中心に、アフリカ、南米、中東等世界各国での海外インターンシップの機会を提供。世界35か国での多種多様で実践的なビジネスインターンシップを通して、時代を牽引するリーダーを輩出している。
第16回女性起業家大賞・スタートアップ部門特別賞、イノベーションにあふれた女性経営者を表彰する「EY Winning Women 2018」では、ファイナリスト5名に入る。また、内閣府主催のシンポジウム「つなぐ、架け橋~アジア・太平洋で活躍する女性起業家たち~」にて、アジア等で活躍する女性起業家として選出された。
タイガーモブ Webサイト
海外インターンシップを通じて次世代リーダーの創出に貢献
アジア、アフリカ、南米などの新興国を中心に、ビジネスの実践経験を積むことを目的とした海外インターンの機会を提供する「タイガーモブ株式会社」。海外でのビジネス経験だけでなく、参加者の人生に大きな影響を与えるインターン経験者同士の繋がりの場を用意。グローバルな視点を持ち、自ら道を切り拓く次世代リーダーの創出に大きく貢献している。海外への送り込みだけでなく、インターンシップ後も成長しあえる場を提供している菊地恵理子氏にお話を伺った。
個を強くすることによって組織を変えていきたい
日本料理屋を営む両親のもとに生まれ育った私にとって、幼いころから接客は身近なものでした。大学在学中には、中国留学や上海5つ星ホテルでのインターン、そしてアジア8カ国を巡り、世界中の方々のモットーを集めるというテーマでバックパッカーを経験しました。それらのバックグラウンドが今の仕事に生きていると感じます。
前職では企業の採用支援に携わっていたのですが、グローバル人材が求められる中、企業を外からのアプローチで変えるのは難しいと感じました。それより個人を変えた方が早いと考えたんです。早期に海外で実践経験を積み、自分の目で見て、考えて、行動する。そんな人が増えれば採用方法や企業のあり方、個人のキャリアの形成方法もより自発的に変わるのではないかと思い、まずは海外インターンを事業として行うことにしました。
起業当初は、様々な方々のサポートのおかげで固定費を抑えることができ、初期費用はほとんどかかりませんでした。その後はYahoo!JAPANのコワーキングスペース・LODGEを経て、2017年に新たに自社オフィスを構えて業務を行っています。
環境にも恵まれ、初期費用も最小限でスタートすることができましたが、東京都の「女性、若者/シニア起業家支援資金(新企業育成貸付)」で融資を受けられたことで、背中を押してもらえたと思っています。
タイガーモブという社名は、「虎のように勢いよく未来に挑戦し、ムーブメントを生み出す」という想いが込められています。1人1人が挑戦し、それによってより多くのシナジーが生まれ挑戦が挑戦をよぶ、そんな機会・コミュニティを創っていきたいと思っています。
バックパッカー営業で海外新規開拓
会社を立ち上げた当初は、コストを抑え、そしてこれからインターンを受け入れてくださる企業様に直接ご挨拶をするために、海外をバックパッカーしながら営業活動をしました。現地に到着したらまずは地元のフリーペーパーを見て面白そうな企業にメールをしてアポイントメントを取り、話を聞いてもらいました。そんなアポイントメントも100件を超えるようになると口コミが生まれてきます。経営者の方々が面白い人・企業をご紹介してくださったり、現地でインターン生が活躍すればするほど口コミが広がり、インターン先が拡大していきました。
「経験」と「コミュニティ」で、次世代リーダーを創出
タイガーモブのミッションは、「次世代リーダーの創出」。挑戦する機会と繋がれる場の提供により、時代に即した次世代リーダーを世に送り出すことです。
インターン先は、急成長する新興国でベンチャーマインドを持っている企業にこだわって選定しています。受け入れ先企業の分野や規模は多種多様ですが、タイガーモブからご参加いただくインターン生が大きな裁量権を持たせてもらうことによって、挑戦し成長でき、そして更に企業が発展していくという好循環を作り出したいと思っています。
また、タイガーモブのもう一つの特色は、ウェブとリアルの場でのコミュニティの存在です。コミュニティは、海外インターンに行くことが決まっている方、海外滞在中の方、そして海外インターンが終わった方で構成されています。 世界のどの場所でどんなことをするのか、悩み相談、同じ経験をしてきた方からのアドバイスなど、同年代で解決しあうコミュニティの存在はとても大きいと考えています。オンラインだけでなく、リアルで集まり事前研修や事後報告会、そして各国をテーマにしたイベントなどで、情報交換をする機会も設けています。
タイガーモブを通じて経験するインターンシップが、ただ単に海外に行くことを目的にするのではなく、海外経験で何を考えどう行動するのか。個人個人の大きなターニングポイントになり、その後の人生にも関わっていけたらと考えています。
周りを信頼し、お互いに伸ばしあう関係を作る
私の周りには起業家が多かったので、起業するにあたり怖いと思うことはありませんでした。でも、起業と聞くと難しく感じてしまったり、会社の方向性をすべて一人で示さなくてはならないというプレッシャーから様々な課題を抱え込んでしまったりするかもしれません。
起業してわかったことは、強がりは早めに捨てた方がうまくいくということでした。会社代表とはいえ、苦手なことはあります。できないことは認め、周りを信じて得意なスタッフに任せられるようになったとき、信頼関係が強固になりお互いの関係性を深めることができました。
実際に起業当初は初めてのことばかりで大変さはありましたが、「人生でこんなに楽しいことってあったんだ!」と思うほど分濃密で充実した時間を過ごしてきたと感じています。歴史を一歩ずつ自分たちで作り上げていくのは最高に楽しいです。
目指す未来像は「新しいものが生まれ続ける場」
組織においては、メンバーや会社自体が“常に挑戦する”環境を作ることを心がけています。それぞれの強みを生かしあえるように、各メンバーが自ら提案し、仕事を生み出していくことがわが社の特色です。
将来的には、タイガーモブのインターンシップを経験した誰もがそれぞれの分野でリーダーシップを取れる、世界に誇れる教育機関として存在したいと考えています。 自分の固定観念が壊されることによって拓かれる広い視野、試行錯誤することによって生まれる新たな思考。海外のビジネス経験を通じて、インターンシップに参加した人の人生に良い影響をもたらすきっかけを作っていきたい。これからも、たくましいリーダーシップの持ち主が生まれる場や、集まるコミュニティを作り続けていきます。