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東京都創業NETインタビュー

株式会社Funwow 山口 智己 氏
1986年、東京生まれ。ノリタケ株式会社、株式会社コーポレイト・ディレクション(CDI)を経て、オープンワーク株式会社では上場準備に貢献。その後、人材系スタートアップの株式会社ハッカズークの取締役を経て、大学の先輩・後輩とともにアートの月額制サービス「Funwow.art」をスタート。プラットフォーム制作というこれまでの知見を生かしたアートツアーやスタンプラリーを駆使することで、アートと継続的につながることのできる社会を目指している。
株式会社Funwow
現代アートと人をつなぎ、共に100年先の歴史をつくる新ビジネス
現代アートの歴史をつくる新領域
私が現在手がけている現代アートの友の会「Funwow.art」は、現代アートの世界に気軽に踏み出せる入り口をつくるためのプラットフォームです。現在は都内を中心に、鎌倉、名古屋、大阪の約30軒のギャラリーと連携していますが、いずれも作家を丁寧にリプレゼントし、価値を高めていく姿勢を持つ“良いギャラリー”ばかりです。
無料会員向けには、展示会の検索や作品の感想が記録できるなど、スタンプラリーのようにギャラリー巡りを楽しむための機能を用意。有料会員になると、月1,000円の会費を積み立てながら、ギャラリーを巡って貯めたポイントを作品購入に充当できるようになるため、「見る人」が「買う人」へと自然に近づく導線を用意しています。
現代アートは歴史をつくる営みだと考えているので、未来に受け継がれていく表現の過程に関われる場づくりこそが、このサービスの根底であり、数少ないビジネスモデルだと考えています。これまでは能動的に動ける人しか参加できない仕組みでしたが、今後はポストカードサイズの著名な現代アートが、3カ月ごとに届く仕組みも導入予定です。

成功のロールモデルを軸に踏み出した起業
メーカー、コンサルティングファーム、人材業界など複数の業界を経験しましたが、なかでも新規事業の立ち上げや上場準備などに携わったオープンワーク株式会社や、株式会社ハッカズークで取締役を務めた経験が大きかったと思います。
ハッカズークでは退職者と企業をつなぐサービスを展開していたのですが、まだまだ「退職者=裏切り者」という風潮が強かったこともあり、当初は「辞めた人に企業がお金を払うのか」という懐疑的な声も多くありました。ただ、実際に事業がカタチになり売上も立ち始めたため、難しそうに見えても適切に仕組みを整えることで、新しい価値は生み出せるのだと実感しました。また、オープンワークでは、自分が立ち上げた新規事業が会社の核となり上場まで進められたという経験があります。これらの積み重ねから、アートという難しい領域でも起業できるのではないかという想いにつながりました。

アートの敷居を下げ、アーティストを支える
実は、コンサルティングファームを辞めた直後に、現在のサービスに近い構想を試みたことがありました。しかし、当時は今よりもアート業界は閉鎖的で、オンラインプラットフォームの概念もほぼ存在しなかったため、口コミサイトのような仕組みは受け入れられませんでした。そのため一度は起業を諦めたのですが、友人であり大学の先輩であるアーティストの活動を近くで見ていたことで、「入りにくい業界だけれども、この楽しさを広げられないか」という想いはずっと消えませんでした。だからこそ、「難しそうでもやってみたら形になる」という実感が芽生えたことで、再びアート領域での挑戦を始めることにしたのです。
私自身はサービスを形にすることは得意なものの、アート業界への知見は少ないため、Funwow.artの立ち上げの際には、先輩であるアーティストとアートに詳しい後輩にサポートしてもらいました。

ビジネスモデルの方向性を再確認したASAC
起業において最も大変だったのは資金面でした。アート領域は依然として閉鎖的で、ベンチャーキャピタルが投資対象として評価しにくいため、自己資金での立ち上げを選びました。また、業界の習慣や信頼形成に時間がかかる点も難しさのひとつです。そのため、ASAC(青山スタートアップアクセラレーションセンター)には“東京都”という信頼性を得る目的で参加しました。現在はオフィスブースも借りています。
実はASACは18期で一度落選しているのですが、当初の口コミサイトから、現在のポイント制モデルへと発展させたことで、19期生として採択されました。これまで、ほぼ一人で事業を進めていたので、毎週メンタリングの相手がいて、さらには同期のメンバーもいるという環境は、精神的に大きな支えになりました。
アート業界はなかなか理解されにくい業界のため、会話が成り立たないことも多いのですが、ASACのメンターは業界に知見のある方だったため、対話ができる相手がいることの価値を強く感じました。もともと資金調達でスケールアップさせるビジネスモデルではないと考えていたため、ASACへの参加を通じて、調達に依存しない戦略を取る必要性を再確認することができました。

起業を目指す方へのメッセージ
もし起業に悩んでいるのなら、何に悩んでいるのか考えてみてください。それが成功するか失敗するかという視点なら、起業はやめた方がいいかもしれません。少なくとも私にとっては、本当にやりたいことに全力で向き合えることに価値があると感じています。
もちろん成功するために全力でやっていますが、仮にうまくいかなかったとしても、それが自分や業界の課題に対して意味のある挑戦になれば後悔はありません。逆に失敗した時に結果だけを見て『無駄だった』と感じてしまうなら、起業に向いていないのかもしれません。これは起業だけでなく、働くこと全般に言えることではないでしょうか。
私自身、前職で取締役として働いていた時は、100%コミットしているつもりでした。けれども、実際に起業してみると、あの時は97%くらいだったかもしれないと感じています。どこかわずかな言い訳の余地があったように思います。
このたった数パーセントの違いが、驚くほど大きい。
起こること全てが100%が自分の責任であると言える状態を経験したことは、人生において重要であると思います。
記事内の創業・成長支援プログラム

青山スタートアップアクセラレーションセンター
1クール3ヶ月間(プレシード)/5ヶ月間(シード)の短期集中型アクセラレーションプログラムを通して、アクセラレーターや先輩起業家、さらには大志を持った多くのメンター陣の支援を受け、リーディングカンパニーへと成長するための機会と場を提供しています。特に女性起業家や成長産業等、東京都の政策課題に取り組む方々や、ソーシャルやものづくり等、ベンチャーキャピタル(VC)が投資しにくいといわれる分野で起業に取り組む創業予定者やスタートアップ企業をメインのターゲットにしています。
