1. 合同会社プシケメンタルスクール 代表 松尾 華香 氏

東京都創業NETインタビュー

合同会社プシケメンタルスクール 代表 松尾 華香氏インタビュー

合同会社プシケメンタルスクール 代表
松尾 華香 氏
小学校教師を経て、障害者福祉ベンチャーやレイター期のヘルステックベンチャーなど様々なフェーズのベンチャー企業にて、心理専門職(臨床心理士、公認心理師)として新規事業の立ち上げやサービス開発、セミナー講師などを経験。昨年、「メンタルヘルスサービスを身近なものにしたい」とオンラインメンタルスクール プシケ(現:合同会社プシケメンタルスクール)を創業。「心の免疫力を上げる!」をビジョンに掲げ、中学生・高校生を主な対象とした心理学を実践的に学べるオンラインワークショップを提供している。
合同会社プシケメンタルスクール Webサイト

「心の免疫力」を向上させ、困難な状況でも自分らしさを失わず柔軟に対処できるしなやかな心を育む

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自身の経験からの気づきと学びが新たな扉を開く

私自身、中高生の頃に生きづらさを感じ、思い悩む日々を過ごしていました。そんな時、進路指導室で心理学のコラムを読み、表面的には見えない問題のメカニズムを主観的世界の探求によって紐解く視座に感銘を受け、心理学を学びたいと大学に進学。卒業後は一度、小学校教師として働きましたが、クラスに馴染めない子、授業のペースについていけない子を受け持ち、支える側の立場になりたいと思い、小学校教師を辞め、臨床心理士を目指すべく大学院に進学しました。

様々な事業に携わることで見えてきた問題点を解決したいという気持ちが起業のきっかけに

大学院修了後は、障害者福祉事業を展開する企業に就職。関西進出一拠点目の立ち上げから携わり、300名以上の発達障害児療育や親御さんのサポート・指導員育成を経験した後、医療職のプロフェッショナルが在籍する、レイター期のメドテクのベンチャーにてオンラインEPA事業の新規立ち上げに参画しました。その後、対面・オンラインのカウンセリングを企業・クリニックで行いつつ、シード期のヘルステックベンチャーにて、相談者やカウンセラーの利用しやすさを考えたUXデザイン、会社員向けのセミナー、メンタルヘルス系の記事の執筆を行いました。心理専門職として様々な事業に参画しましたが、社会に未だカウンセリングなど心理支援への偏見や、ハードルの高さがあることを感じ、「質の高いメンタルヘルスサービスをもっと身近なものにしたい」と心理専門職として起業を志すようになりました。

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新しくチャレンジすることで起業に向け大きく前進

起業を視野に入れ活動する中で、TOKYO STARTUP GATEWAY(以下、TSG)の電車広告がふと目に止まり応募するも早期に落選。アイデアを言語化できない自分に気づき、TSGのビジネススクール「スタトラ!」に参加することにしました。3ヶ月間集中して基本的なフレームワークなどを学び、事業内容をロジカルに整理しながら多角的な視野を持ち固めていくことができました。更に、メンタリングを受ける中で、社会起業家としての物事への向き合い方を学べたことも自信に繋がりTSGに再挑戦することを決意。現在の事業アイデアにてレジリエンス賞を受賞することができ、起業へ向け大きな自信に繋がりました。

仲間とアイデアを出し合いながらセミナーを展開

TSGでのレジリエンス賞の受賞を皮切りに、起業に向け本格的に走り出しました。私自身、中高生の頃に生きづらさを感じていたこともあり、心の問題を早期に予防するメンタルヘルスケアを事業化したいと思っていました。その上で、再現性、継続性をもたせたいと事業に参加してくれる仲間を集め、「オンラインメンタルスクール プシケ(現:合同会社プシケメンタルスクール)」を立ち上げました。プシケでは、メンタルヘルスケアを身近に感じていただくため、中高生を主な対象とし、心理専門職が講師を務める、「面白くて、専門的に」心理学メソッドを”体得”できるセミナーを提供しています。同年代のグループメンバーとの関係を構築しつつ、セミナーで学んだことを日常と実践で振り返るというサイクルを回して、成功体験が詰めるように心がけています。個々のヒアリングを通して、心理専門職がセミナーを考案し、その専門性を活かしながら臨機応変にグループワークもサポートしています。親御さんから「変化を実感できた」と言っていただけた時は本当に嬉しく、今後事業を展開していく上で励みになっています。

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誰しもがメンタルヘルスリテラシーを持つ社会を目指して

中高生の不登校が増加していることもあり、今後はより多くの子どもたちに届けていきたいと思っており、学校や塾など教育機関への導入を目指しています。そのために、合同会社プシケメンタルスクールを軌道に乗せつつ、研究も進め学会発表をして信頼を得ていきたいと思っています。また、先輩起業家やTSGの同期とも壁打ちをしながら、より良いサービスを提供出来るよう、いまでも何度もリーンキャンバスを書き直したりペルソナをさらに明確にするなど、細かな調整を続けています。ゆくゆくは、起業家の心の健康を整えるサービスも提供したいと考えていますが、今は自分自身が起業家として成長していくフェーズなので、プシケの事業に真剣に取り組み、予防的にみんながメンタルヘルスリテラシーを持つ社会を目指していきたいと思っています。

起業を目指す人へ向けて

私自身、起業すると決意してからTSGに参加している間、目指す先が本当に起業なのかとずっと不安でした。今も、疲弊したり挫折しそうになったり、否定されているように感じたりすることもありますが、自分自身と向き合い内省を続けて自己理解を深めることで、少しずつ挑戦する勇気を持てるようになっていきました。スキルや知識の獲得だけでなく、起業家として自分自身と向き合うこともとても重要なように思います。
そして、事業をスケールさせることばかりでなく、まずは地道に一歩ずつでも活動を続けることが大切なのではないかと思います。社会起業の場合、短期的にわかりやすい成果がなかなか出ず、思い通りに行かないことも多いかもしれません。そのようなときは、そこから何を学べるか、得られるかと視点を柔軟に変えながら、ねばり強く取り組むといいのではないでしょうか。続けることで応援してくれる人が増え、どこかで実ることがあると思います。思いや夢に向かって一緒に前進していきましょう。

記事内の創業・成長支援プログラム

TOKYO STARTUP GATEWAY

TOKYO STARTUP GATEWAYは、テクノロジーから、モノづくり、ソーシャルイノベーション、リアルビジネス、グローバルを見据えた起業など、分野を越えて、「東京」から世界を変える若き起業家を輩出するスタートアップコンテストです。
優秀なビジネスプランなど、初めは必要ありません。「こんな世界や世の中をつくりたい、みてみたい。」その、あなたに秘めた夢・情熱こそが全てのはじまりです。この場に集まる仲間や応援団と共に、真に世界を変えていける力を、思い切り磨いていってください。

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