1. 株式会社ユビレジ 木戸 啓太 氏

東京都創業NETインタビュー

株式会社ユビレジ 代表取締役 木戸 啓太 氏

株式会社ユビレジ代表取締役
木戸 啓太 氏
石川県加賀市出身、米屋のせがれ。慶應義塾大学 大学院 理工学研究科 データサイエンス研究室 修了。大学時代のバーでのアルバイトの経験から、店舗に多く残るアナログな情報管理に課題を感じ、業界初のiPad用クラウドPOSレジアプリ「ユビレジ」をスタート。

「iPad」を活用した業界初のPOSレジのアプリサービスを開始

木戸 啓太インタビュー01

漠然とした「起業」への憧れを高校時代から胸に秘め、大学院在学中に起業したユビレジの木戸啓太社長。当初は不動産検索の会社を立ち上げようとしたが、事業をスタートする前に大きく方向転換し、「iPad」を活用した業界初のPOSレジのアプリサービスを開始。試行錯誤のスタートだったが、現在は利用店舗数実績が25000件に達する。創業8年目の木戸社長に今後の展望を聞いた。

起業への漠然としたあこがれ

木戸 啓太インタビュー02

高校生のころから漠然と起業したいという気持ちがありました。
松下幸之助やビル・ゲイツなど著名な起業家にあこがれていましたが、地元の石川県では起業するための情報が不足しており、何をやりたいか具体的なイメージは持っていませんでした。

どんなことが自分に向いているかを確かめるため、大学時代は工事現場やバーテンダーから、データ分析や営業まで、業種にこだわらずにいろいろな職種のアルバイトを経験しました。そのときの経験が後々のサービス提供に活きてくるようになります。

最初は、いろいろなアルバイトで貯めたお金を元手に起業支援の団体で知り合った方と「ホームサーチ株式会社」という「不動産検索」の会社を立ち上げたものの、事業を始める前に大きく方向転換しました。当時、「iPad」が発売されることを知り、BtoBの現場で使われるようになる、と直感が働きました。それまでのアルバイト経験から、特にサービス、小売りの分野で提供できることが何かあるのではないかと構想を練り、iPadでレジができるアプリ「ユビレジ」を開発。最初のお客様は、長野県の鯛焼き店でした。

業界初の「iPad」を活用したPOSレジのアプリサービスを提供するものの・・・

木戸 啓太インタビュー03

ところがこのお客様、一か月でサービスの利用を終了してしまいます。サービスを提供しながらシステム改善を行い続けての開発だったので、実はお釣りを計算する機能がない、レシートも出ないなど、課題が山積みの状況だったのです。

レジでの計算は、簡単なようで奥が深い。割引・値引きがある場合にどのタイミングで消費税をつけるかなど、ひとつひとつを検証し必要な機能をそろえてからの再スタート。ユビレジのサービスを軌道に乗せるまでの間は、本業の傍ら、ゲームのアプリを開発したり、データ分析の仕事を兼業し、そこで得た資金をユビレジの開発に投じました。

iPad自体が注目されていることもあり、サービスをリリースした当初より、マスコミからの取材もたくさんいただいています。レジスターのベーシックな機能を持たせつつ、こんな機能があったら利用者が喜ぶことが予想できる機能を搭載していきながら、おかげさまで少しずつ利用が広がり、現在は25000店舗の方に利用していただくまでになりました。当初は2人でスタートしましたが、現在は50人の従業員を抱えるまでになりました。

「サービス産業のデータインフラを整備する」ミッションを着実に実現する

木戸 啓太インタビュー04

ユビレジでは、POSレジである「ユビレジ」、ハンディアプリの「フリックオーダー」、在庫管理「ストックスキャン」などのサービスを自社で提供。さらには、顧客管理のサービスや、クレジットカード決済で他社と連携しています。これらのサービスや連携をお店に導入して情報を整理すれば、お店の人は現状把握と改善、そして売上の向上が可能になります。便利な機能を搭載し、より使いやすくを追求することが、弊社のミッション「サービス産業のデータインフラを整備する」につながると思っています。

まだユビレジやタブレット型のPOSレジを知らない人に認知度を上げるのも課題です。このため、実際に利用されているお客様の声を集めて告知に使っています。
実例の告知の際にお伝えしているメリットは、「客単価が上がること」で、さらにいちばん分かりやすく、「お客さまにもう一品頼んでもらう」ことを伝えています。
いろいろな仕事を同時並行でこなす中で、お客様から取った注文を伝票に書いてキッチンに伝票を持っていき、都度伝えるというプロセスもかなりの負担になっています。

フリックオーダーを使って注文内容をその場からキッチンに送信すれば、キッチンとの往復に使っていた時間をお客様に充てることが出来、サービスも向上、さらに追加注文を受けるチャンスが生まれるのです。

アルバイト人材の獲得も最近では難しくなっているため、新人さんでも短期間に即戦力として働いてもらうことも重要になります。これまで一週間以上かけて覚えていたオーダーを取る方法が、当社のフリックオーダーならスマホ感覚で一日かからずに覚えられます。オーダー端末の分かりやすさ・使いやすさは、人材の定着にもつながっています。

飲食店のオープン時、「いちばん最後に」レジを決めるお店も多いですが、まず一番初めにレジを決め、合わせて売上目標などの指標を設定しておくことが、今後の店舗の繁盛に繋がります。是非「先に」ご検討ください。

公的支援の活用について

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日本公庫の資本性ローンを受けたり、ユビレジを利用いただくお客様から出資を受けたりしています。いまは25000件のお客様に利用いただいていて、「サービス産業のデータインフラを整備する」が重要で、それを着実に実現しています。愛情を持ってサービスを利用くださるファンをこれからも増やせればと強く思っています。

起業当時の自分に声をかけるとしたら

木戸 啓太インタビュー06

「いまは起業しないほうがいい」とアドバイスすると思います(笑)。景気が悪いときにつくったほうが生命力が高まるからです。ユビレジは09年のリーマンショックの時に会社を立ち上げたので、景気はどん底からじわじわ良くなるしかない状況でした。いまは経済環境が良いため、逆にいつまで好景気が続くかという状況です。よちよち歩きの状態で起業しても、すぐに景気の波がひくかもしれないスタートはつらいと思います。タイミングも見極めながら、しっかり準備してからスタートするのがいいと思います。

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