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東京都創業NETインタビュー

株式会社yomiyomi 仲村 怜夏 氏
九州大学在学中にプロダクトデザイナーとしてキャリアをスタート。スマホをかざすだけで思い出がよみがえる「思い出召喚ステッカー」を開発し、2025年8月にローンチイベントを開催。TSG2025メンバーシップ賞、GMO DESIGN AWARD 2025優秀賞、ウーマンビジネスグランプリ2026グランプリをはじめ、さまざまなコンテストで評価を受け、記憶のプロダクトブランドとして新しい体験価値の創出に取り組んでいる。
株式会社yomiyomi コーポレートサイト
思い出に永遠の居場所を。モノに記憶を宿し、1000年先まで生きた証をつなぐ
日常に「思い出」をデザインする
19歳のときに父をがんで亡くしました。不思議なことに、最初に薄れていくのは、声や仕草、ふとした瞬間の空気感のようなものです。そうした感覚に触れるたび、「モノに記憶が宿っていたら、どうなるんだろう」と考えるようになりました。たとえば机に手をかざすだけで、その机にまつわる記憶が呼び起こされる。そんな発想を形にしていくうえでの最適解がNFC(近距離無線通信)であり、そこから生まれたのがデジタルステッカー「思い出召喚ステッカー」です。「思い出召喚ステッカー」にはICチップが内蔵されており、スマートフォンをかざすだけで、保存しておいた15秒の動画とメッセージを再生することができます。スマートフォンの普及で、多くの人が日常的に写真を撮り、記録することはとても簡単になりましたが、多くの思い出はカメラロールに溜まってはいくものの、見返されないまま埋もれてしまっています。思い出は保存ではなく、見返されることでその人の中に生き続けるものです。生き続ける思い出を形にする新しいプロダクトが「思い出召喚ステッカー」なのです。

個の力を尽くした先で仲間の必要性を知る
大学卒業を控えたタイミングで母もガンを患い、経済的な事情から、大学を休学して正社員として働き始めました。 当時は会社員と自分のプロジェクトを両立しながら進めていましたが、目線が少しずつ先へ向くようになった事もあり自然とチームでプロジェクトを進めるようになりました。日本中で知られるプロダクトをつくりたい、孫の孫の代まで残り続けるものをつくりたい。そんな思いが強くなるにつれて、より良いものを生み出すには仲間の存在が欠かせないと実感するようになりました。『週刊少年ジャンプ』を読んで育ったこともあり、どこか『ONE PIECE』のような冒険に憧れているのかもしれません。大人になっても夢を追い続け、目を輝かせていたい。そんな思いから起業を決意し、2025年11月に法人化しました。

落選に次ぐ落選で、見えてきたこと
開発を始めて最初の1年間は20件ほどのアクセラレータープログラムに応募したものの、すべて落選。その影響もあって、私を含めチーム全体のモチベーションはかなり下がっていました。このままだと空中分解してしまうかもしれない。そんな中で、友人が代表を務める CHOOSE YOUR LIFE FESに、サービスをご提案する機会をいただきました。私たちの目指すこと、プロダクトとしての「思い出召喚ステッカー」に興味をもってもらい、結果として大型フェスに導入してもらうことができました。私だけでなく、チーム全体にとっても大きな自信につながり、一歩前進できたと感じています。
この1年を通じて強く感じたのは、自分たちに合うと思っている領域と実際に評価される領域の間に乖離があるということです。選り好みをせず、どんどん出ていくことで意外なところから評価を受けることもあり、それが私たちのプロダクトを客観的に見ることにもつながるのだと思い知らされています。

TSGという転機。確かな評価と縁の広がりを実感
手探りで進んでいた私たちにとって、TOKYO STARTUP GATEWAY(TSG)への参加は大きな転機となりました。実は2024年にも応募していましたが、そのときはセミファイナルの一つ手前で落ちています。その経験を糧に準備を重ね、2025年に再挑戦してメンバーシップ賞を受賞しました。ただ、最優秀賞を狙っていただけに、受賞の瞬間は喜びより先に、チームのみんなに「ごめん」という気持ちだったのが正直なところです。
それでも、スタートアップの潮流として課題解決型やディープテックが評価されやすいなか、原体験をもとにしたBtoC向けのプロダクトで、しかもオーディエンス投票で選ばれる賞をいただけた。これは、私たちの今までの頑張りを肯定してもらえた実感があり、時間がたつほど嬉しさが増していく、とても意味のある受賞でした。さらにTSGへの参加をきっかけに、私たちを知ってくださる方が増え、いくつかの企業ともご縁が生まれました。その広がりの大きさは想像以上です。
とはいえ、現時点で実現できていることは、私たちが目指していることのごく一部に過ぎません。だからこそ、まずは自分たちが持続的に事業を続けられるだけの売上を確保しながら、一つひとつ丁寧に信頼を積み重ねていきたいと考えています。そして、世界中から愛される思い出プロダクトを生み出し、ここ東京から新たなカルチャーを発信していきたいと思っています。

起業を目指す方へのメッセージ
「起業」という言葉そのものが、どこか胡散臭く受け取られやすい時代だと感じています。必要以上に大きく見られがちですし、SNSでは過度にあおるような空気も少なくありません。ただ、起業の本質は商店街で何十年も営業を続けているお店に近いのではないかと私は考えています。規模の大小にかかわらず、自分がつくりたいものをつくり、それを買ってくれる人がいるのであれば、それは十分に起業であり、その人は起業家です。
「起業する」というと、どうしてもハイリスク・ハイリターンの世界として語られがちですが、もっと多様なやり方があってよいはずです。小さく始める選択肢もあれば、生活に合わせて無理のない規模で続ける道もあるでしょう。極端な二元論で考えるよりも、自分に合った方法を等身大で探すほうが現実的です。起業は一部の特別な人だけのものではなく、より多くの人に開かれた選択肢になり得る。私はそんなふうに考えています。
記事内の創業・成長支援プログラム

TOKYO STARTUP GATEWAY
TOKYO STARTUP GATEWAYは、テクノロジーから、モノづくり、ソーシャルイノベーション、リアルビジネス、グローバルを見据えた起業など、分野を越えて、「東京」から世界を変える若き起業家を輩出するスタートアップコンテストです。
優秀なビジネスプランなど、初めは必要ありません。「こんな世界や世の中をつくりたい、みてみたい。」その、あなたに秘めた夢・情熱こそが全てのはじまりです。この場に集まる仲間や応援団と共に、真に世界を変えていける力を、思い切り磨いていってください。
